ライター・カーツさとう氏による前立腺がん「PSA(前立腺特異抗原)検査」初体験記(第2回)。日本人男性の罹患率トップのガンへと躍り出た“前立腺がん”。しかし、その早期発見は簡単な検査で可能という事実を『前立腺がんは怖くない』(頴川晋慈恵医大教授著)で知ったカーツ氏は、若干遅きに失する53才という年齢ながら、市の健康診断&がん検診(男は胃がん、肺がん・大腸がんの3種)に前立腺がんの検査も追加して検査を予約。大腸がん検診用の検便などの準備も万端ととのえ、ついに検査の日を迎えるのであった!!
* * *
検査は朝の9時からであった。15分前にクリニックで受付をすると、検尿用の紙コップを渡される。これはがん検診とは関係ない、普通の健康診断用の検尿だろう。
とはいえ、ついさっき家でしっかり出して来ちゃったからなァ~尿! そうならそうと一言いってくれれば、オシッコ我慢した状態でやってきたのに。
トイレに入り膀胱に力を込め、ほぼ使い切ったマヨネーズ容器からマヨネーズを絞り出すイメージで尿を出す。すると……ツツトトと少量ながらもコップに溜まる松の露。それを提出し、受付に一言、
「あの~尿が少ししか出なかったんですけど、大丈夫ですか?」
と確認をするあたりに、我ながら「今回の検診はしっかり受けたい!」という熱意満載と感心する。「尿は少なくても大丈夫です」と確認も取れ安心していると、今度は大量の問診表を渡される。検診前に書いてくれということである。
まぁよくある“クスリのアレルギーはありますか?”みたいなヤツだが、胃がん、肺がん、大腸がんそれぞれについても1枚ずつの問診表があった。印象的な問診は大腸がんでの問いで、正確な文章は覚えてないが、
“過去に痔になったことはありますか? その種類は? そしていつから?”
というヤツ。ワタクシ、自慢ではありませんが、高校1年という青春真っ只中でイボ痔を発症しており、それが脱肛へと強化進化! あまりの痛みに何回か体育の授業を見学したことすらございます。シャワートイレを自宅に導入した25才頃から目立った症状は出ておりませんが、こういうのは正確に記した方がいいに違いないと、“痔核、脱肛・昭和50年頃”と書く。ああ甦る愛と青春のイボ痔。
さて!! ここらあたりで「前立腺がんの話が出てこないぞ!」とお思いの読者諸兄もおられるでしょうが、実はワタシもこの受付の時にそう思っていた! だって前立腺がんの検診に関しては問診表すら渡されてないのだ。予約の時にちゃんと伝えたつもりだったが、市のがん検診項目に入ってない検査なので、もしや忘れてるのでは? そうすら思っていた。
書き込んだ問診表を受け取りに来た看護師さんに、思わず聞く。
「あの~前立腺がんの検診受ける予約をしていたと思うんですが、入ってます?」
「あ、ちゃんと入ってます。ところで胃がん検診の胃カメラの前に鎮静剤を……」
アッサリ肯定され、話は半ば強制的に胃がんへと移行。どうやら前立腺がん検査は、本当になんの準備もなく簡単なヤツらしい。
看護師さんの話は続く。