世界トップの長寿国である日本では、米を主食にすることで脂肪が少なく、かつ、肉、魚、大豆などをバランスよく摂取している。
こうした食材が寿命を延ばしてきたわけだが、逆に、人を早死にさせてしまう食材はあるのか。
2012年、ハーバード公衆衛生大学院の研究では、ホットドッグ1本あるいはベーコン2枚を毎日食べ続けると死亡リスクが20%増加すると発表された。昨年、世界保健機構(WHO)が加工肉の発がん性リスクを指摘し、関連団体は「因果関係が明らかにされていない」と反論するなど議論を呼んでいるが、摂り過ぎには注意が必要のようだ。
健康にいいものだからといって、それだけを食べ続ければ健康にいいわけはない。例えばアルコールだ。ハーバード公衆衛生大学院の報告によれば、適量であれば心臓病や糖尿病、認知症などの予防効果があるが、飲み過ぎると発がんリスクが急上昇するという。
塩も同様で、日本人は摂り過ぎる傾向があり、高血圧や腎臓疾患、不整脈などの原因になるとされている。
最新の研究で明らかになった食材の一つがジャガイモだ。食べ方次第で、体に悪いものになりかねないというのである。ハーバード大学で食と健康に関する研究をしていた米国ボストン在住の内科医師・大西睦子氏はこう言う。
「ジャガイモにはビタミンCなどのビタミン類やカリウム、マグネシウム、鉄などのミネラルに加え、皮には食物繊維が含まれます。
しかし、味を良くするために油と塩を加えて調理されることが多く、それが肥満や生活習慣病などの原因になる。また、ジャガイモはアミノ酸の一種であるアスパラギンと、ブドウ糖や果糖などの還元糖を含み、高温で両者を加熱すると『メイラード反応』が起き、大量のアクリルアミドを生成します。アクリルアミドは国際がん研究機関(IARC)が、『人に対しおそらく発がん性がある』物質に分類している物質です」
高温でジャガイモを調理するフライドポテトやポテトチップスには、このアクリルアミドが含まれているということだ。そのアクリルアミドの量については、保管方法で変わってくると大西氏は言う。
「ジャガイモを低温で保管すると、でんぷんが還元糖に変化します。還元糖を高温で加熱することでアクリルアミドが生成されるので、低温の冷蔵庫などで貯蔵していたジャガイモの方が、アクリルアミドが多く生成されるということです。ジャガイモを調理する際には、常温で保管したものにしたほうが安心でしょう」
※週刊ポスト2016年11月11日号