受信料の値下げを匂わせたり、年内いっぱいで解散するSMAPに紅白出場の熱烈ラブコールを送ったりと、近ごろ何かと人気取りの政策を口にするNHKの籾井勝人会長(73)。だが、籾井氏が今一番欲しいのは、人気よりも「任期」なのかもしれない──。
籾井氏といえば、2014年の会長就任直後から、数々の言動が物議を醸してきたのは周知の事実。局内の人事を掌握する目的だったのか、理事全員に日付のない辞表を書かせて“モミジョンイル”と揶揄されたかと思えば、政府与党べったりの偏向報道姿勢を堂々と公言し、多くの批判も買ってきた。
上智大学教授の田島泰彦氏が憤る。
「NHKは公共放送といえども、報道機関である以上“不偏不党”を貫き、いかなる政治権力にも縛られずに独自の情報を視聴者に届けるのが基本の『き』です。
にもかかわらず、籾井氏は自ら〈政府が右ということを左とはいえない〉と公言し、慰安婦問題や原発報道でも政府の方針や発表が出るまではNHKのスタンスは決まらないとの暴言を繰り返してきました。公平中立が生命線である報道機関のトップとしてまったく相応しくない資質の持ち主なのです」
10月31日、そんな公共放送らしからぬNHKの体質改善を求めるべく、田島氏をはじめとした学識者やジャーナリスト、児童文学作家、噺家ら17名が呼びかけ人となり、籾井体制にNOを突きつける要望書をNHKの経営委員会に提出した。賛同者は早くも100名を超えているという。
なぜ、この時期に要望書を出したのか。それは籾井氏の1期3年に及ぶ会長任期が来年1月24日に迫り、次期会長選びが本格化しているためだ。しかし、なんと「続投」の可能性も残されているという。
「籾井氏は10月の定例会見で続投への意欲を問われ、〈普通の人は『やりますか?』と言われたら『やる』と言うんじゃないですか?〉と答えていた。あくまでも自分の話ではないと断っていたが、まんざらでもない様子だった」(全国紙記者)