今年8月の就任以来、小池百合子東京都知事が東京五輪にまつわる数々の疑惑や築地市場の豊洲移転問題など、あまりに不透明なお金の流れと、それらを生み出した「ブラックボックス」ともいわれたプロセスに、徒手空拳で切り込む姿が連日大きく報じられている。
彼女が掲げた「東京大改革」の最初の一歩はしかし、意外にも自らの報酬削減だった。都知事選で「身を切る改革」の一貫として知事報酬の削減を公約に掲げた小池知事は就任からわずか2か月後、期末手当を含めた自身の年収を2896万円から1448万円に半減する条例案を都議会に提出し、可決された。
《ぶっちゃけ知事の報酬はいまでも安すぎると思うので上げて欲しいね。そうしないと優秀な人材を取りにくい》(堀江貴文氏のツイッターより)との冷ややかな声もあったが、彼女の真意は単に報酬を下げることではないと語るのは、河村たかし名古屋市長だ。河村市長は小池知事の当選直後、報酬半減を実現するように電話でアドバイスしたと明かし、こう続けた。
「まず知事が自らの給与を下げれば、その後に高すぎる都議会議員やひいては都職員の給料を下げて、税金を都民に還元するという流れができる。知事の報酬削減は従来の政治文化を変える“庶民革命”の第一歩なんです」
今後の政界再編のキーマンとも噂される、橋下徹前大阪市長もツイッターでこう発言した。
《小池さんの報酬半減条例の提案。それでどれだけのお金を生みだせるの?という話ではない。これは改革の姿勢の話。まずはこの身を切る改革姿勢を示すことで役所改革・補助金改革・予算の大改革・議会改革に繋がる》
政治のプロたちが「革命」「改革」につながると評する小池知事の報酬削減。折しも今、政治の世界を見渡せば、「政治とカネ」の問題が嵐のように吹き荒れている。
富山市議会では政務活動費の不正受給問題で議員12人がドミノ辞職し、国会では菅義偉官房長官や稲田朋美防衛大臣ら、現職大臣による白紙領収書問題が浮上して、政治不信が再び高まっている。
何より小池知事の誕生そのものが、2代続けて金銭問題で辞任した知事の後を受けてのことだった。
これまで何度も何度も繰り返された「政治とカネ」の問題はなぜなくならないのか。今回、本誌・女性セブンは全47都道府県の知事にアンケートを実施して、この問題の根幹を問うた。橋下氏が指摘したように、自治体のトップが自ら「改革姿勢」を示すことが、「政治とカネ」の問題を解決するには不可欠だと考えたからだ。
今回のアンケートで期限までに回答があったのは、43都道府県だ。京都、岡山、宮崎、沖縄の4県は多忙などを理由に回答がなかったことを明記しておく。
最初に問うたのは、知事が自身の報酬についてどう考えるか。前述のように、小池知事の報酬半減をめぐっては賛否両論があるのも確かだが──。
「知事は自らの報酬を削減すべきと考えるか?」との質問に対して、「削減すべき」と答えた知事が1人、「削減すべきではない」が3人、「どちらとも言えない」が9人、「すでに削減している」が27人だった。