これまで新潟市は日本海側ナンバーワンを自称し、加賀百万石の城下町の伝統を持つ金沢市に対抗してきた。この二つの都市のライバル関係をたどると、インフラ面でいち早く整備が進んだのは新潟。田中角栄元首相の影響力で、1982年には上越新幹線が開業した。
「“金沢には新幹線がない”と言われて、ずっと悔しい思いをしてきた。でも、やっと金沢に新幹線が通ったし、ますます観光客で賑わいそう」(金沢市民)
北陸新幹線開通による新潟市民の焦りは隠せないようだ。新潟市にある北方文化博物館の佐藤隆男専務理事がいう。
「金沢が“新幹線が通った”と浮かれているのは気分が悪い。この前、金沢に行ったら、駅にでかでかと『金沢に来るなら、春か夏か秋か冬がいいと思います。』なんてキャッチコピーが掲げられていた。金沢は雨が多くて一年中ドンヨリしていますよ。新潟も雨が多いですが、四季を楽しむなら新潟のほうがふさわしい」
さらに、全国的には有名でないようなことでも、両市は張り合っている。
「新潟といえば『新潟美人』。色白で肌がキレイな女性が多い。新潟の離婚率が低い(全国46 位)のも、新潟女性が美人で我慢強いからです」(前出・佐藤氏)
「新潟美人? 聞いたこともない。制服のスカートが短いのは知ってるけど、品がないですよね。その点、金沢女性はエレガント」(金沢市民)
そんな両市に挟まれている富山県民は「いつも置いてけぼり」とぼやくのみ。
富山の頭越しに石を投げ合うこの争い。決着はなかなかつきそうにない。
※週刊ポスト2016年11月11日号