米国で行なわれたGPシリーズ開幕戦でかつての世界女王・浅田真央は6位となった。26歳、左ひざの故障もある。年齢とともに下半身に脂肪がつくようになり跳躍にキレがなくなったとも言われる。
それでも浅田は逆境にめげない。開幕戦で代名詞のトリプルアクセルを封印したが、次のGP第4戦フランス大会(11月12日開幕)では、「トリプルアクセルを入れて、自分の以前やっていたレベルまで持って行きたい」と、伝家の宝刀の解禁を宣言した。この解禁宣言が波紋を広げている。フィギュア関係者の話。
「高難度のトリプルアクセルは基礎点が高い代わりに失敗しやすく、減点になりやすい。それよりも最近の若手がよく飛ぶ『トリプルルッツ→トリプルトウループ』というコンビネーションの方が、成功しやすいうえに高得点が期待できる。
ただ、浅田選手は点数以上にトリプルアクセルにこだわりを持っています。だから『やると決めたらやる』タイプ。でも今の状態では失敗する可能性が高い」
ファンもそんな苦境を理解している。コラムニストの勝谷誠彦氏の話。
「ジャンプが飛べず苦しむ姿は、見ている私たちも苦しい。本人が楽しんでいるのならいいですが、今の彼女の表情を見たら……無理して飛ばなくても、真央ちゃんは十分魅力的。ファンの愛する『真央スマイル』で有終の美を迎えてほしい」
2018年の平昌五輪で輝けば、これほど素敵なことはない。でも、そのためにボロボロになって燃え尽きる姿を目の当たりにするのは、ファンには耐えられない。
「真央ちゃん、もう飛ばなくていいんだよ」──もしかしたら世間からはヒンシュクを買う意見なのかもしれない。それでもオジさんたちは、目頭を熱くしてこういわずにはいられないのです。
※週刊ポスト2016年11月11日号