肉欲的で被写体の色香が匂い立つような写真を得意とする写真家の清水清太郎氏。40年以上、数多くの女性を撮影してきたが「表面をなぞるようなソフトな撮り方は俺にはできない」と語る。理由は清水氏の撮影信条にある。
「良い写真って、相手に惚れ込まないと撮れないんですよ。俺の写真にはクセがある。もっとドロドロした部分の写真が撮りたいんだよね。そういうふうにやらないと、見た人をドキッとさせるような写真は撮れないと俺は思うんだよ」
内面に迫る撮影手法は、同時に相手との距離も縮める。清水氏を信頼し、撮影後に無二の友人となる女性は多い。そのため清水氏は、被写体との濃密なエピソードを多数持つ。
その1人が2013年に亡くなった女優・坂口良子だ。
「すごく気さくないい子だったよ。若い頃は皆でよく一緒に飲みに行ってたね。仲が良くなりすぎたのか、良子を家まで送っていった翌日に、女性週刊誌に“坂口さんとの結婚が決まったそうですね”って直撃されたこともあった(笑い)。でも断わっておくけど、男女の関係になったことはない。性別を通り越した仲だったな」
同様に、さっぱりとした性格で長く友人関係を続けているのが女優・朝加真由美。
「真由美は男勝りで竹を割ったような性格。俺のことも“おい、清太郎!”って呼ぶんだよ(笑い)。それでいて義理人情に厚い。最近は80年代、90年代の写真を振り返る企画が多いけど、あいつは俺の写真以外の掲載は断わってくれているらしい。
そんな義理堅い女、今時いないよね。もちろん今でも月に1回は一緒に飲みに行く仲だよ。カラオケもできるバーに行くと、居合わせた客に気さくに歌い方を教えてあげたりして、みんな真由美のことを好きになるよ」
※週刊ポスト2016年11月11日号