2020年の東京五輪を招致するプレゼンテーション(2013年)の際、壇上に立った滝川クリステル(39才)の、「お・も・て・な・し」を覚えているかたも多いだろう。滝川は日本らしいおもてなしの一例として、落とし物に言及していた。
「もし皆様が東京で何かをなくしたならば、ほぼ確実にそれは戻ってきます。たとえ現金でも。実際に昨年、現金3000万ドル以上が落とし物として東京の警察署に届けられました」
これには世界中がどよめいた。なぜならそもそも海外では、日本のように警察が一貫して落とし物を管理するという制度がないのだ。ともかく、“探し物が見つかる国、ニッポン”を世界に向けて発信してしまったゆえ、全く手を抜けずにいる人たちもいる。
例えば、京都。世界人気観光都市No.1にも輝き、世界各国から観光客が後を絶たない。しかもまもなく本格的な紅葉シーズンを迎え、てんやわんやとなる。
2015年、京都府警に届けられた遺失・拾得された落とし物数は前年比1割増の約61万件。そのうち、京都駅や寺社などの観光地や、ホテルなどを多く抱える『下京署』には全体の4割を占める23万8317件が集結。前年を1万6734件上回っている。
「全体の1割が外国人観光客でしょうか。昨年は中国のかたが多かったですが、今はちょっと落ち着いて、欧米や台湾のかたたちの比率が増えているようです。こちらも語学堪能な者ばかりではないので、身振り手振りでなんとか対応したり、翻訳アプリを使ったり。大変でした」(下京署署員)
外国人の落とし物で多いのは、携帯電話、パスポート、財布、あとクレジットカードなど。
「買い物されたお店、電車やタクシー、駅などで落とされることが多いですね。先日は台湾から観光に来られた親子で、市営バスにパスポートが入ったバッグごと忘れてしまって、“明日はもう台湾に帰らないといけない”とパニック状態でした。それで、こちらから市バスに問い合わせて、そのバッグが見つかったのですが、その親子は何度も頭を下げて“アリガトウ、アリガトウ”と繰り返しておられました」(下京署署員)
日本は海外と違って、落とし物がそのまま戻ってくることが多い。しかも財布の中のお金が無事なことに驚いて「ミラクル!」と叫んだり、感極まって係員に「あなたが探してくれたの? 記念にぜひ、一緒に写真を撮らせてほしい!」と迫る外国人もいるという。
※女性セブン2016年11月17日号