安倍首相とプーチン大統領の北方領土交渉がいよいよ大詰めを迎えている。多くの首相たちが解決を目指し、そして挫折してきた北方領土問題は、いったいどのような形で決着するのか? 大前研一氏が解説する。
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北方領土問題は、12月に来日するプーチン大統領と安倍晋三首相の“山口会談”で大きく進展するのは間違いない。新聞・テレビは「2島先行返還・2島継続協議」「共同統治」などと報じているが、私は、プーチン大統領はお得意の「面積等分方式」を提案する(もしかすると、すでに提案している)と思う。
これまでにプーチン大統領は、中国との係争地だった大ウスリー島の面積を二等分することで国境を画定し、北極海のノルウェーとの係争海域についても二等分で40年に及ぶ境界線論争に終止符を打った。この歴史を踏まえて私は以前から、柔道愛好家として知られるプーチン大統領が日本に対して投げかけた「引き分け」という言葉の意図は、北方領土の面積等分による決着であろうと指摘してきた。
安倍首相は5月にプーチン大統領と会談した際、北方領土問題に関して「今までのアプローチとは違う新たな発想で交渉を進めないといけない」と提案したとされるが、これは面積等分方式を念頭に置いたものだったのではないだろうか。
面積等分方式であれば、歯舞群島、色丹島、国後島と択捉島の約20%が返ってくることになる。しかし、択捉の陸上に国境線ができると出入国管理など難しい問題が多々生じるので、とりあえず歯舞、色丹、国後の「3島返還」になる可能性が高いと私はみている。
※SAPIO2016年12月号