映画やドラマを見ていると気になるのが、特別出演などの役者についた肩書。何もついていない人もいるのに、なぜつけるのか?
「特別ゲスト的な出方やインパクトのある登場をされる場合につけます。友情出演、カメオ出演など、どれも決まりはなく、プロデューサーの判断に委ねられています」
と、関西テレビ放送映画事業部プロデューサー・青木裕子さんは解説する。では、主演とW主演の違いは何か?
「主演とは文字どおり作品の座長となる主役のこと。W主演は、例えばバディーモノのように2人が軸となって進む作品や、こちらの意図として“主演の2人を見てほしい”と方向づける場合に使用します」(青木さん)
役者のクレジット、違いは何?
◆主演
ドラマ・映画で中心となる役(主人公)を演じること。
◆W主演
2人の役者が主演を務めること。
◆友情出演
監督や主演の友人に“友情価格”で出演してもらうこと。ノーギャラということもあるらしい。
◆カメオ出演
原作者が出演したり、本人が本人役で出ること。近年では加藤シゲアキ原作の映画『ピンクとグレー』に、本人が出演し話題になった。
◆特別出演
主役を演じるクラスの俳優・女優が、主演以外の役で登場するときに使われる。
そして、プロデューサーは、企画・制作・宣伝・二次利用に至る、すべての工程の責任者。
「監督はその作品が完成するまで全体の指揮を執る人です。役者への演技指導や撮影場所、背景音楽、衣装など撮影にかかわるすべてを決め、指示を出します」(青木さん)。
映画『ボクの妻と結婚してください。』のプロデューサーを例に、具体的な仕事内容をみてみよう。
◆チーフプロデューサー
映画やテレビ・ラジオ番組の製作・制作における責任者。雑誌なら編集長に相当するケースが多い。
◆プロデューサー
予算調達や管理、スタッフの人事など製作全体を統括する職務。
◆ラインプロデューサー
予算面と現場を取り仕切る人。
作品によってはプロデューサーの最上位職で、管理職・幹部に当たるのが「エグゼクティブ・プロデューサー」いる場合も。そして、プロデューサーの製作補助を行うのが「アソシエイトプロデューサー」、製作費・スタッフ・作品の方向性を統括する「ゼネラルプロデューサー」がいる場合もある。
映画やドラマなどの最後に出演者やスタッフの名前が流れるエンドロールに決まりはあるの?
「順番はプロデューサーが決めます。順番にルールはありませんが、主役→準主役と続き、重要な役どころを間に挟んだり、最後にもってくることが多いですね」(青木さん)
だが、大ヒットした映画『シン・ゴジラ』のように、主演以外は五十音順で一挙に並べることもある。
「出演者やスタッフの人数が多い場合は、一気にということもありますし、監督のこだわりもあるので、作品によっても違います」(青木さん)
ドラマの場合は民放とNHKによっても違うようだ。テレビ関係者によると、NHKは最小限の責任者クラスを表示し、民放はすべてのスタッフを入れるのだとか。
※女性セブン2016年11月17日号