ヒラリー・クリントン氏とドナルド・トランプ氏が争う米大統領選挙が11月8日に迫り、いよいよ大詰めを迎えている。そうしたなかで、劣勢と伝えられることの多かったトランプ氏については、早くも「敗北後にどう行動するのか」が話題になっている。
有力なのが「テレビ局設立説」である。英フィナンシャル・タイムズ紙は、トランプ氏の娘・イバンカ氏の夫が、メディア企業立ち上げのために出資してもらえないかをプライベートバンクに相談したと報じた。さらに、米大手テレビ局「FOXニュース」のロジャー・エイルズ前CEOが、トランプ氏に新メディア設立のアイデアを授けたとの報道もある。
米国政治に詳しい中岡望・東洋英和女学院大学教授は、夏ごろからそうした情報が流れていたとして、こう語る。
「大統領選に出たのはメディアを作るためのプロモーションではないかと噂されてきました。トランプは不動産王として、自分自身をブランド化し、喧伝することで成功を収めてきた。リアリティ番組『アプレンティス』でも主演兼プロデューサーとして人気者になり、さらにこの大統領選で世界中から注目された。今は候補者として批判の嵐に晒されているが、とにかく“メディアで顔を売って、商売に活かす”ことには長けた人物ですから」
猥談を繰り広げる動画を公表され、脱税疑惑やセクハラ被害の告発など、とにかく話題には事欠かなかったトランプ氏は、どういったメディアを設立するのか。
「ケーブルテレビであれば資金的に問題なく設立できるだろうが、それでは数多あるうちのひとつにしかならない。現実的なのは現存局で自らの主義主張を展開するトーク番組を構えることでしょうか。ニュース番組は多くの人材が必要だから難しいだろう。4年後にはまた大統領選がある。再出馬のために、持論を展開できる場所をつくるのかもしれない」(前出・中岡氏)
トランプ氏は現在70歳で、すでに今回勝てば「史上最高齢」の就任になるが、まさかの“負けても4年後再挑戦”があるのか。
※週刊ポスト2016年11月18日号