韓国の朴槿恵大統領を境地に追い込んだ「青瓦台(韓国大統領府)の女帝」といわれる知人への機密情報漏洩スキャンダル。疑惑の中心にいるのは崔順実(チェスンシル)氏(60)とその元夫で、朴氏の秘書室長だった鄭允会(チョンユンフェ)氏(61)。2014年のセウォル号沈没事件の際に朴氏との密会が噂された鄭氏だが、彼と朴氏を近づけたのは崔氏だった。
夫を友人に差し出してまで権力に執着する崔氏とはどんな女性か。
「朴槿恵より4歳年下の崔順実は、朴を『オンニ(お姉さん)』と呼んで親しくなった。対等ではなく、下から慕うことで信頼と安心感を抱かせることが彼女流の洗脳術だった」(韓国人ジャーナリスト)
朴氏の大統領就任後、身元確認なしの「顔パス」で青瓦台に出入りする崔氏は声明の草稿から外遊時のファッションまで、あらゆる面で朴氏を操ったとされる。韓国内で崔氏は「秘線実勢」と形容された。韓国政治が専門の新潟県立大学・浅羽祐樹教授が解説する。
「秘線とは“通常のラインではない”という意味で実勢とは“実力者”のこと。つまり、“影の実力者”という意味です。大統領には公式のスタッフがいるのに、何の権限も責任もない民間人が政権をコントロールしていた。民主主義国家ではありえない事態です」
今回の騒動後、韓国メディアはこぞって、崔氏が朴政権の重要事項を決定する「秘線会議」を自ら開催していたと報じた。
会議の舞台は崔氏が実質的なオーナーである「ミル財団」だった。この財団のオフィスに青瓦台の第一付属室長が厚さ30センチもの「大統領報告書」を毎回持参した。大統領官邸首席が大統領に報告するオフィシャルな書類である。
この報告書をもとに毎回2~5人が参加して会議が開かれた。会議にはCM監督のチャ・ウンテク氏の姿が常にあったという。
「彼はK-POPアーティストのミュージックビデオなどを撮影する有名な監督で、“文化界の皇太子”の異名を持つ。崔順実の側近で、彼女のことを『会長』と呼んでいた」(在韓ジャーナリスト)