健康と食にまつわるこれまでの「常識」が次々覆りつつある。中高年の肥満が「ビール腹」と形容されるように、“ぽっこりと腹が出るのはビールのせい”という印象を抱いている人は多い。
だが、2011年に滋賀医科大の上島弘嗣・特任教授らが調査した結果、ビール腹は、ビールの摂取量とは無関係であることが明らかにされた。40~70歳代の男性約1000人の飲酒量や腹囲などを調べたところ、アルコールの総摂取量のうち、ビールが30%を超える「ビール党」の腹囲が平均85.3センチだったのに対し、日本酒など他の酒を主に飲んだり、飲酒しなかったりする「非ビール党」は85.5センチで、逆に0.2センチ大きかった。
「卵はコレステロールを多く含んでいるので、食べると血中コレステロール値が上がる」という説も否定されている。ハーバード大学で食と健康に関する研究をしていた米国ボストン在住の内科医師・大西睦子氏はこう指摘する。
「米コネチカット大学栄養科学科の研究では、卵のようなコレステロールを多く含む食品を摂取しても70%の人は血中コレステロール値が変化しないか微増のみでした。体質的に感受性が高い人を除けば、血中コレステロールに悪影響を及ぼすことはありません。
さらに東フィンランド大学の研究では、卵の摂取により2型糖尿病のリスクが下がり、血糖値が下がると発表されています」
※週刊ポスト2016年11月11日号