国内

震災で注目のキャンピングカーはプライバシーの確保も可能

遊びにも非常時にも活躍するキャンピングカー

 東日本大震災、熊本地震、そして鳥取県中部地震…。瞬時に家を失うという「まさか」に備え、キャンピングカーへの買い替えを検討する人たちが増えている。“プライバシーの確保”も大きな理由の1つだという。

◆キャンピングカーが可能にしたプライバシーの確保

 今年4月に起きた熊本地震。余震が続き、避難生活が長びく被災者を対象に、マーケティングなどを手がけるIT企業「ガイアックス」(東京都品川区)が、キャンピングカーを無償で貸し出すボランティア活動を行った。

 キャンピングカーを無償で貸し出ししてくれる販売店や個人所有者をウエブで募り、乳幼児や高齢者のいる家庭へ優先的につなぐというもので、90家族・計約360人が応募。2か月を期限にキャンピングカーで生活した。

 それまで家族4人で軽自動車に寝泊まりしていたというある家族は、「今日から手足を伸ばして寝ることができる。それだけで幸せ。地震以来続いていた子供の夜泣きもやんだ」。

 1~2日の車中泊ならともかく、狭い空間での暮らしが続くと、心身ともに大きなストレスが加わる。

 とくに家族に乳幼児や高齢者、障害者がいる場合、長期の避難生活による肉体的ストレスはもちろんのこと、精神的ストレスも深刻だ。熊本地震の際は、余震を恐れて屋内避難所を避けて車中泊する被災者が続出。エコノミークラス症候群で搬送されるケースが問題となった。キャンピングカーなら、屋外で安眠できる。

 また、「長男が発達障害のため、パニックを起こしたら周囲に迷惑をかける…と思うと、避難所生活ができずにいる」「普通のクルマで寝泊まりしたが、乳児に母乳をあげていると外から覗かれたりして、すごく嫌な思いをした」…など、いつ終わるともしれない避難生活のストレスは想像以上に大きい。

◆遊びにも非常時にも活躍するキャンピングカーの利点

 キャンピングカーなら、給排水設備や冷暖房、照明など、独立した生活環境を備えている上に、プライバシーもほぼ完璧に守ることができる。万一の際は、家族全員で即時に移動が可能だ。

「自分たちだけがよい思いをして申し訳ない」という考え方は日本人の謙虚さだが、非常時にあって健康でいることは大切だ。家族に負担をかけず、また動ければ他者を助けることもできる。

 そのほか、キャンピングカーは、避難所で活躍する医療スタッフの休憩所になったり、受験生の勉強部屋に使われたりと、“動く家”という特性を生かしたさまざまな使い方が可能だ。次回は自分が誰かを助ける側に回ることもできる。

 普段は遊び道具として活躍し、いざとなれば避難ツールとしても使えるキャンピングカー。有事に備え、特大の“非常用持ち出し袋”として、クルマ買い替えの選択肢に加えるのも一考かもしれない。

■取材・文/渡部竜生(キャンピングカージャーナリスト)

※女性セブン2016年11月17日号

関連記事

トピックス

運転席に座る広末涼子容疑者(2023年12月撮影)
【広末涼子容疑者が追突事故】「フワーッと交差点に入る」関係者が語った“危なっかしい運転”《15年前にも「追突」の事故歴》
NEWSポストセブン
広末涼子容疑者(時事通信フォト)と事故現場
「全車線に破片が…」広末涼子逮捕の裏で起きていた新東名の異様な光景「3kmが40分の大渋滞」【パニック状態で傷害の現行犯】
NEWSポストセブン
北極域研究船の命名・進水式に出席した愛子さま(時事通信フォト)
「本番前のリハーサルで斧を手にして“重いですね”」愛子さまご公務の入念な下準備と器用な手さばき
NEWSポストセブン
自宅で亡くなっているのが見つかった中山美穂さん
《中山美穂さん死後4カ月》辻仁成が元妻の誕生日に投稿していた「38文字」の想い…最後の“ワイルド恋人”が今も背負う「彼女の名前」
NEWSポストセブン
広末涼子(時事通信フォト)
【広末涼子容疑者が逮捕、活動自粛発表】「とってもとっても大スキよ…」台湾フェスで歌声披露して喝采浴びたばかりなのに… 看護師女性に蹴り、傷害容疑
NEWSポストセブン
麻布台ヒルズの個展には大勢の人が詰めかけている
世界的現代美術家・松山智一氏が問いかける“社会通念上の価値の正体” 『うまい棒 げんだいびじゅつ味』で表現したかったこと
週刊ポスト
山口組分裂抗争が終結に向けて大きく動いた。写真は「山口組新報」最新号に掲載された司忍組長
「うっすら笑みを浮かべる司忍組長」山口組分裂抗争“終結宣言”の前に…六代目山口組が機関紙「創立110周年」をお祝いで大幅リニューアル「歴代組長をカラー写真に」「金ピカ装丁」の“狙い”
NEWSポストセブン
中居正広氏と報告書に記載のあったホテルの「間取り」
中居正広氏と「タレントU」が女性アナらと4人で過ごした“38万円スイートルーム”は「男女2人きりになりやすいチョイス」
NEWSポストセブン
Tarou「中学校行かない宣言」に関する親の思いとは(本人Xより)
《小学生ゲーム実況YouTuberの「中学校通わない宣言」》両親が明かす“子育ての方針”「配信やゲームで得られる失敗経験が重要」稼いだお金は「個人会社で運営」
NEWSポストセブン
約6年ぶりに開催された宮中晩餐会に参加された愛子さま(時事通信)
《ティアラ着用せず》愛子さま、初めての宮中晩餐会を海外一部メディアが「物足りない初舞台」と指摘した理由
NEWSポストセブン
大谷翔平(時事通信)と妊娠中の真美子さん(大谷のInstagramより)
《妊娠中の真美子さんがスイートルーム室内で観戦》大谷翔平、特別な日に「奇跡のサヨナラHR」で感情爆発 妻のために用意していた「特別契約」の内容
NEWSポストセブン
沖縄・旭琉會の挨拶を受けた司忍組長
《雨に濡れた司忍組長》極秘外交に臨む六代目山口組 沖縄・旭琉會との会談で見せていた笑顔 分裂抗争は“風雲急を告げる”事態に
NEWSポストセブン