本誌の名物企画「○○ぎらい」シリーズ、その中で浮かび上がってきたのは、「嫌われ都市」の近隣の人ほど敏感に反応する、いわば“同地域内の近親憎悪”である。そこで今回は、競争意識などから互いを嫌悪し合う東日本の地方都市間の争いに焦点を当てた。
福島県の県庁所在地・福島と、人口では上回る郡山。県内トップを争うはずの福島VS郡山争いだが、自慢の仕方がなんとも妙なのである。
「仙台で買い物に行くなら福島の方が近くて便利。東北大学(仙台市)だって下宿せずに通学できる」(福島市民)
「東京により近いのは郡山」(郡山市民)
郡山市民は「仙台市福島区」と福島を揶揄し、福島市民は「郡山はアクセスが良いと言うけど、県の中心部にあるから、会津やいわき方面への電車が止まるだけ」と郡山を皮肉る。
お国自慢の争いではなく、「仙台に近い」「東京に近い」で争う、当事者不在の「代理戦争」と化している。
埼玉県には、2001年にさいたま市に合併した後も、浦和vs大宮の「埼玉ダービー」が残る。もともと県庁所在地だった浦和に対し、県内で唯一対抗できる都市だった大宮には、「浦和に吸収されたわけではない」という気概がある。そのため、Jリーグの浦和レッズと大宮アルディージャは「埼玉ダービー」として最も盛り上がる戦いとなっている。
イラスト■福島モンタ
※週刊ポスト2016年11月11日号