1907(明治40)年生まれの109歳。三重県一の長寿者、菱川すみれさん(鈴鹿市在住)は、肉と魚卵が大好きな“高コレステロール食”だ。
菱川さんは100歳まで眼科医として診察し、引退後は次男夫婦と暮らしている。耳が遠くなった菱川さんに代わり、次男の妻の首藤佐知子さん(72)が語る。
「魚卵が大好きで、朝はご飯にウニをのせて、夜はご飯にイクラをかけて、食べています。鮭とししゃもの卵を混ぜたフレークや助子(スケトウダラの卵)、柔らかい子持ち昆布も好きです。
牛肉や豚肉をすき焼き風に煮たもの、『白花豆』という豆を甘く煮たものや、カボチャやサツマイモを煮たものも好んで食べます。でも好き嫌いは多く、豆腐や味噌汁、里芋、海苔の佃煮は食べようとしない。それでいて、血液検査の結果は義娘の私よりも健康だから不思議です」
アンチエイジングに詳しい管理栄養士の安中千絵氏は、この食事内容を見て、「長寿なのが納得の食べ方」と感心する。
「『お肉好き』は、高齢者にとって大事なこと。たんぱく質の摂取量が減ると、血液中の『血清アルブミン値』が下がります。これは加齢とともに減り、基準値を下回ると、老化の進行が早まるという報告があります。最近はお年を召した人ほどたんぱく質を摂ることが長生きの秘訣といわれています。
朝ご飯を食べているのも共通点。朝食を抜くと高血圧や脳出血になりやすいという研究結果がある。また、コレステロール値は少し高めの方が長生きするともいわれています」
自分が食べたいものを食べていると、自分にとってバランスが取れた食事になる──それが、百寿者(100歳を超える人)の食事の秘密かもしれない。
※週刊ポスト2016年11月18日号