本誌の名物企画「○○ぎらい」シリーズ、その中で浮かび上がってきたのは、「嫌われ都市」の近隣の人ほど敏感に反応する、いわば“同地域内の近親憎悪”である。そこで今回は、競争意識などから互いを嫌悪し合う西日本の地方都市間の争いに焦点を当てた。
山口県では山口vs下関が火花を散らす。山口市には「世界のユニクロ(ファーストリテイリング)」があるのに対して、下関市は安倍首相の選挙区で「総理のお膝元」として鼻高々。それぞれ輩出した政財界の大物を自慢し合う関係にあるが、双方はこうツッコミを入れる。
「ユニクロは本社こそ山口だけど、柳井社長は宇部市の出身」(下関市民)
「安倍首相は下関の選挙区だけど、東京生まれで、本籍も長門市でしょ」(山口市民)
我こそが中国地方の中心と、広島に対抗心を燃やす岡山県では岡山vs倉敷対決が根深い。1962年、100万都市を目指して合併話が進められたが、倉敷市が反対し、立ち消えとなった因縁がある。
九州随一の観光県である長崎県だが、県内では“内ゲバ”も起きている。長崎vs佐世保が「県内最大の観光名所」を競い合っているのだ。
「佐世保にはハウステンボスがあって、観光客数も増えている」(佐世保市民)
「路面電車で出島や眼鏡橋、平和公園にも行ける。観光名所の数が圧倒的に違います」(長崎市民)
さらに高知県からは一風変わった、四万十市vs四万十町の名称争いがエントリー。四万十市の方ができたのが早いが、名称が決まったのは四万十町の方が早いと、その名を巡って互いに一歩も譲らない。正直、紛らわしいだけのようにも思えるのだが……。
※週刊ポスト2016年11月11日号