国内

北方領土問題にらみ安倍首相が仇敵・鈴木宗男氏と手を組む

ソチ会談で流れを引き寄せた Kremlin/Sputnik/Reuters/AFLO

 なぜ今、このタイミングで、北方領土という最難関の外交問題が急展開を見せているのか。話題書『総理』(幻冬舎)で権力の内側に肉薄した元TBSワシントン支局長の山口敬之氏が、安倍政権“最深部”の動きを綴る。

 * * *
 新党大地の鈴木宗男の娘、鈴木貴子が2月26日、旧民主党に離党届を提出した。さらにこれに先立つ2月初頭、自民党と新党大地が「次の衆議院選挙の北海道七区で新党大地の鈴木貴子と自民党候補両名の当選を模索する」とする文書を交わしていた。

 そしてソチで安倍首相とロシアのプーチン大統領が膝詰めで話し合った1週間前の4月下旬、北海道五区の補欠選挙で鈴木宗男が応援に立った自民候補が1万2000票差で辛勝した。

 この選挙協力で鈴木親子が得たものは限りなく大きい。次期衆議院選挙がいかなる形になろうと、少なくとも貴子は比例代表で当選する道筋が立ったのである。宗男にとっては、目に入れても痛くない愛娘で後継者の貴子の政治家としての安定を手にしたのである。

 それでは安倍官邸はこの取引で何を得たのか。新党大地の協力で何とか勝利を勝ち取った選挙結果もあり、当時の報道や論評では、安倍の意図を選挙に限定する見立てがほとんどだった。

 しかし、宗男の地盤は北方領土を管轄する根室振興局がある道東だ。旧島民や親族など北方領土に関係の深い住民が多いこのエリアは今後の北方領土交渉の進展の過程で重要な意味を持つ。

 さらに、ムネオハウスで知られる宗男は今でもロシア経済界と一定の関係を維持しているものと見られている。プーチンが剋目した8つの経済パッケージ(※注1)の内少なくともいくつかについて、鈴木のルートが活きてくるとみる関係者もいる。

【注1/今年5月にロシアの保養地ソチで行われた日露首脳会談の際、日本側が提案した8項目の経済協力パッケージ。(1)健康寿命の伸長(2)快適・清潔で住みやすく、活動しやすい都市作り(3)中小企業交流・協力の抜本的拡大(4)エネルギー(5)ロシアの産業多様化・生産性向上(6)極東の産業振興・輸出基地化(7)先端技術協力(8)人的交流の抜本的拡大。】

関連記事

トピックス

「衆参W(ダブル)選挙」後の政局を予測(石破茂・首相/時事通信フォト)
【政界再編シミュレーション】今夏衆参ダブル選挙なら「自公参院過半数割れ、衆院は190~200議席」 石破首相は退陣で、自民は「連立相手を選ぶための総裁選」へ
週刊ポスト
Tarou「中学校行かない宣言」に関する親の思いとは(本人Xより)
《小学生ゲーム実況YouTuberの「中学校通わない宣言」》両親が明かす“子育ての方針”「配信やゲームで得られる失敗経験が重要」稼いだお金は「個人会社で運営」
NEWSポストセブン
中居正広氏と報告書に記載のあったホテルの「間取り」
中居正広氏と「タレントU」が女性アナらと4人で過ごした“38万円スイートルーム”は「男女2人きりになりやすいチョイス」
NEWSポストセブン
『月曜から夜ふかし』不適切編集の余波も(マツコ・デラックス/時事通信フォト)
『月曜から夜ふかし』不適切編集の余波、バカリズム脚本ドラマ『ホットスポット』配信&DVDへの影響はあるのか 日本テレビは「様々なご意見を頂戴しています」と回答
週刊ポスト
大谷翔平が新型バットを握る日はあるのか(Getty Images)
「MLBを破壊する」新型“魚雷バット”で最も恩恵を受けるのは中距離バッター 大谷翔平は“超長尺バット”で独自路線を貫くかどうかの分かれ道
週刊ポスト
もし石破政権が「衆参W(ダブル)選挙」に打って出たら…(時事通信フォト)
永田町で囁かれる7月の「衆参ダブル選挙」 参院選詳細シミュレーションでは自公惨敗で参院過半数割れの可能性、国民民主大躍進で与野党逆転へ
週刊ポスト
約6年ぶりに開催された宮中晩餐会に参加された愛子さま(時事通信)
《ティアラ着用せず》愛子さま、初めての宮中晩餐会を海外一部メディアが「物足りない初舞台」と指摘した理由
NEWSポストセブン
「フォートナイト」世界大会出場を目指すYouTuber・Tarou(本人Xより)
小学生ゲーム実況YouTuberの「中学校通わない宣言」に批判の声も…筑駒→東大出身の父親が考える「息子の将来設計」
NEWSポストセブン
大谷翔平(時事通信)と妊娠中の真美子さん(大谷のInstagramより)
《妊娠中の真美子さんがスイートルーム室内で観戦》大谷翔平、特別な日に「奇跡のサヨナラHR」で感情爆発 妻のために用意していた「特別契約」の内容
NEWSポストセブン
米国からエルサルバドルに送還されたベネズエラのギャング組織のメンバーら(AFP PHOTO / EL SALVADOR'S PRESIDENCY PRESS OFFICE)
“世界最恐の刑務所”に移送された“後ろ手拘束・丸刈り”の凶悪ギャング「刑務所を制圧しプールやナイトクラブを設営」した荒くれ者たち《エルサルバドル大統領の強権的な治安対策》
NEWSポストセブン
沖縄・旭琉會の挨拶を受けた司忍組長
《雨に濡れた司忍組長》極秘外交に臨む六代目山口組 沖縄・旭琉會との会談で見せていた笑顔 分裂抗争は“風雲急を告げる”事態に
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 中居トラブル被害女性がフジに悲痛告白ほか
「週刊ポスト」本日発売! 中居トラブル被害女性がフジに悲痛告白ほか
NEWSポストセブン