最大震度6弱の鳥取中部地震が発生したのは10月21日午後2時7分。地震の影響で約430人が乗った特急1本と快速2本、計3本の列車が瀬戸大橋の上で立ち往生した。2時間ほどで運転が再開されたが、これが通勤や帰宅ラッシュの時間と重なっていたらもっと大きな混乱が起きていたかもしれない。
電車や地下鉄で被災したときの対処法について、防災・危機管理アドバイザーの山村武彦さんが解説する。
「線路やトンネル内には高圧電線が走っているので、非常用コックを開いて慌てて線路上に飛び出すのは危険。慌てず係員に従うのが原則です。ただし火災が発生したり煙が充満しているような状況で係員からの指示がなかったら、周囲の人たちに声をかけ、自分たちの判断で避難すべきです」
2011年5月に起きたJR北海道のトンネル火災事故では、トンネルと車両内に煙が充満しているにもかかわらず係員からの適切な避難指示がなく、危険を察知した乗客たちが自分の判断で避難した。
「それでも約40人の負傷者が出ました。もし避難が遅れていたら、もっと多くの死傷者が出ていたかもしれません」(山村さん)
即座の判断が生死を分けるのだ。トンネル火災とともに怖いのが脱線や衝突だ。
災害危機管理アドバイザーの和田隆昌さんが語る。
「過去の事故では、脱線したのは先頭車両から2両目までに集中しています。混雑した車内では、中央で立っている人が圧縮されて被害を受けるケースが多い。車内で比較的安全なのはドアの脇や戸袋付近です。体が投げ出されないように、立っていても座っていても、とにかく近くの吊り革や手すりを絶対に離さないこと。命を守るためには欠かせません」
バスに乗っている場合でも、対処法は電車と同じだ。
「地震の揺れで運転手がハンドル操作を誤り、衝突事故が起きることが想定されます。揺れを感じたら衝突に備えて手すりや吊り革をしっかりつかんで離さないこと。高速バスでは、シートベルトを必ず装着するようにしてください」(和田さん)
電車やバスに乗る時は、普段から「この場所は安全か」「どう行動するか」を意識しておくことが、自分の身を守ることにつながる。
※女性セブン2016年11月24日号