米大統領選挙で劇的勝利を収めたドナルド・トランプ氏の口癖は「メキシコとの国境に壁を作る」だが、日本のプロ野球界との間にも壁を作るかもしれない。アメリカ野球愛好会副代表で法政大学国際日本学研究所の鈴村裕輔氏が指摘する。
「トランプ大統領の誕生によって、日本人選手のメジャーリーグ挑戦への影響が考えられます。トランプ氏が訴えている移民の抑制にはビザ発給の制限が効果的なので、発給枠を狭める可能性があります。
とくに日本人選手がマイナー契約した場合のビザは単純労働者と同じ扱いなので、ビザ発給が半年待ちでシーズン開幕に間に合わない選手も出てくるかもしれません。
即メジャー入りの選手の場合でも、ポスティングシステム(入札)が見直しになる可能性があります。2013年に移籍金の上限が約21億円に見直されましたが、米国ではまだまだ高すぎると不満が多く、トランプ氏がその声に押される可能性もあります」
こうなると気になるのが、北海道日本ハムファイターズを10年ぶりの日本一に導いた大谷翔平のメジャー挑戦への影響だ。
「トランプ氏がこれまでの発言の実効性を迫られた際に、象徴的なものとして日本から高額の契約金でやってくる大物野球選手をターゲットにする可能性はある。今オフを逃したら、大谷選手のメジャー移籍の先行きが不透明になるかもしれません」(同前)
トランプの壁で「日本の至宝」の米国流出を阻止してくれるなら、日本球界には朗報か。
※週刊ポスト2016年11月25日号