10月21日の鳥取中部地震では多くの被害が出て、地震の破壊力のすさまじさを改めて印象づけた。大地震のニュース映像では、スーパーやコンビニの陳列棚から多くの商品が落下してくる様子がよく映し出される。自分がその場にいたらと思うとゾッとするが、いったいどう対処すればいいのか。
「まずはかばんや買い物かごなどで頭をガードして安全を図ることが大切です。それから陳列棚や照明器具などから離れ、転倒・落下物の少ない場所へ移動し、身を低くして揺れが収まるのを待つ。古い木造建物や倒壊の恐れがある場合以外、建物のなかにいるのが基本です。
最近は地震に備えて一時避難場所を設けている店も増えているので、よく利用するスーパーでは店頭に掲示してある避難経路図で非常口や避難場所を確認しておきましょう」(防災・危機管理アドバイザーの山村武彦さん)
重量のある商品が崩れてこないように陳列されているコンビニは、スーパーよりも比較的安全な場所ながら要注意の場所も存在する。災害危機管理アドバイザーの和田隆昌さんの話。
「大きなガラス面に接する形で設けられている雑誌コーナーや、飲み物が並べられているガラス扉の近くも、ガラスが破損して飛び散る危険性があるので、揺れを感じたらすぐに離れること。コンビニ店内で最も安全なのは、周囲に大きな陳列がないレジカウンター周辺です。そこで揺れが収まるまで身を低くして待つこと。ただし、肉まんやおでんコーナーなど熱いものがある場所からは離れてください」
昨年5月に発生した小笠原諸島西方沖地震では、関東一円で約1万9000基ものエレベーターが緊急停止。14件の閉じ込め事故が発生した。
「2009年以降に作られたエレベーターなら、地震時管制運転装置と呼ばれる緊急停止システムが備わっているので最寄りの階に止まってドアが開きます。国内のエレベーターの約6割にはこの装置がついていますが、念のためすべての行き先階ボタンを押し、停止した階で降りて、階段で避難しましょう」(山村さん)
それでもエレベーターに閉じ込められる危険性は少なくない。その時に自分でできることは限られているようだ。
「まずはエレベーター内の緊急ボタンで連絡を取り、携帯を持っていれば電話やメール、スマホならSNSなど、ありとあらゆる手段で自分が閉じ込められていることを外に伝える。 過去には最長で7~8時間閉じ込められたケースがありますが、それでもエレベーター内で亡くなった人はいません。焦らず、ひたすら救助を待つのがベストな方法です」(和田さん)
水や非常食、非常用ライトなどが入った「防災キャビネット」が設置されているエレベーターも増えてきたので、普段からの確認が必要だ。高層ビルにいた場合、混乱から階段で押しつぶされるなど、二次被害に遭わないとも限らない。
「揺れている最中、階段を下りるのは危険です。揺れを感じたら窓や照明器具などの落下物から離れて、頑丈そうな柱などにつかまって身を守りましょう」(山村さん)
※女性セブン2016年11月24日号