風邪のシーズンがいよいよ到来したが、風邪をひいたとき、「まだ全快しないから、念のため薬をのみ続けている」という人はいないだろうか。市販の風邪薬は3~4日分の服用が基本となる。この間で症状が改善しなければ、風邪ではない症状を心配すべきだと、薬剤師で国際感食協会理事長の宇多川久美子さんは言う。
「症状は風邪と似ていても、検査すると肺炎だったというケースもあります。風邪でない場合は市販の風邪薬は効かないので、長引く場合は病院で診てもらうべきです」
そこで気になるのは、市販薬と病院の処方薬の違いだ。
「市販薬は副作用が強くならないように成分の作用も比較的弱いため、軽い症状には効果的ですが、こじらせてからのピンポイントでの効果は期待しにくい。一方、処方薬は患者ひとりひとりを診察して、症状や体格、体質などに沿った“オーダーメード処方”ができます。当然、副作用についてのアドバイスも個別対応が可能です」(女性医療クリニックLUNA・ANNEX院長の小林愛さん)
だからといって、風邪っぽいからとすぐに病院へ行くのもちょっと待った。
「ちょっとした咳からインフルエンザまで、風邪は範囲が広く、症状もさまざま。すぐに受診しなくても、まずは自宅で安静にしていれば自然によくなります。しかし、3~4日経っても症状が改善しない場合は医師に相談しましょう」(小林さん)
ただし、慢性閉塞性肺疾患や気管支喘息などの持病を持っている人は、風邪により急激に悪化することがあるため、そうした基礎疾患のある人は早めに受診を心がけよう。
「それと今の時期は、急な高熱や関節の痛みなど、普通の風邪とは違う症状が出た場合は、インフルエンザの恐れがあります。インフルエンザの薬が効くのは発症から48時間以内のため、38度以上の高熱が続いたら、できるだけ早く病院へ行ってください」(小林さん)
西洋薬には抵抗があっても、自然の成分からできている漢方なら服用するという人も多いのではないだろうか。
「風邪の症状に一対一対応の西洋薬とは違い、漢方は1種類の薬でもさまざまな効果が期待できます。風邪の初期段階で葛かつ根こん湯とうを服用すると、発汗を促して解熱、鎮痛、消化を助ける作用が期待できます。“風邪かな”と思った瞬間すぐのめば、即効性も期待できます」(小林さん)
漢方は空腹時に服用すると効果的だ。湯に溶かしてのむとより効果が高いが、難しければ常温の水で内服するといい。しかし、漢方もタイミングによっては副作用をもたらす。
「風邪をこじらせてから葛根湯をのむと、吐き気を催したり動悸が激しくなったり、発汗過多で体調が悪化する恐れがあります」(宇多川さん)
もともと肝機能が悪い人や胃腸が弱い人、他に薬をのんでいる人は漢方が合わない恐れがあるので、必ず医師に相談してから服用しよう。
※女性セブン2016年11月24日号