韓国社会では、実力よりも権力者との距離や縁故が優先される現実がある。それは社会の至るところにみられる。この体質は官民を問わず社会に浸透している。
■LG、現代など大企業の3分の1に「世襲採用」協約がある
韓国の雇用労働部が労働組合のある企業のなかで売上高トップ30社を調べたところ、2016年4月現在で11社が組合員の子女らを優先的に雇用する「世襲採用」条項を労働協約のなかに設けていた。該当する企業には現代重工業、LG化学、GSカルテックスなど財閥系が目立った。韓国問題に詳しいジャーナリストの前川惠司氏はこう解説する。
「韓国では労組が強い企業ほど、世襲採用条項を設けています。組合員の縁故採用を続けていれば、管理職の子供をコネで入社させても文句が出にくいという理屈からです」
■「求職者の6割は縁故採用される」という衝撃調査結果
韓国のシンクタンクが2011年に発表したレポートでは、求職者6165人のうち56.4%が友人や親戚、家族の紹介を通じて就職していた。従業員1000人以上の大企業に限っても、縁故採用(47.3%)が公募採用(32.9%)を上回った。韓国在住ジャーナリストの藤原修平氏がいう。
「縁故採用だけでなく、学閥や出身地が出世コースに大きく影響します。ソウル大や延世大といった名門大学以外の出身者や一般家庭の出身者が就職や出世で不利となる風潮は色濃く残っています」
■ソウル大ほか国立大学教授に学閥採用が多すぎる
韓国最難関といわれるソウル大学を含む韓国の10の国立大学は2003年、教授を新規採用する過程で学閥や地縁などを優先する40件もの違法・不正行為があったと公表。
「知人の勤務する大学でも、創設者の出身地と同じ地域出身の人間が極端に多く働いている」(藤原氏)
韓国人研究者にノーベル賞受賞者が生まれないのも不思議はないのかもしれない。