国内

2016年11月9日、戦後は終わった 日本の自主独立の好機

トランプ大統領誕生は変革のチャンスか

 ドナルド・トランプ氏の米大統領選勝利で日本の安全保障への懸念が強まっている。「在日米軍は撤退を」「日本は核武装せよ」──トランプ氏の発言は、選挙向けのパフォーマンスと見る向きも強いが、もしそれが本気だったらどうか。むしろそれこそ日本にとってチャンスであると説くのが外務省元国際情報局長の孫崎享氏だ。

「トランプ氏が『カネを出さないなら撤退するぞ』と言うなら、日本は『どうぞ撤退してください』と言えばいい。年間5000億円にも上る基地費用を負担し、しかも議会の承認がなければ出動すらしない米軍はコストに合わない。安上がりで使える基地がなくなって困るのは向こうのほうですから、日本は強気に出るべきです」

 さらに『草食系のための対米自立論』などで知られる評論家の古谷経衡氏はこう指摘する。

「トランプ大統領によって今後の日本では、アメリカからの庇護ありきの軽武装路線が成立しなくなる。アメリカに頼って、アメリカに守られながら生きる日本の時代、つまり『戦後』は、2016年11月9日をもって終わったと言っていいでしょう。

 その証拠に、大荒れのトランプ相場の中で、東京計器、石川製作所、豊和工業といった防衛・軍事産業銘柄が急激に値上がりしています。日本が防衛予算を増やさざるを得ない近未来を織り込んでいるとみて間違いないでしょう。

 メディアでもこれまでタブーだった自主防衛の必要性や核武装の可能性までが話し合われるようになってきた。自分の国のことを他国に憚らず自分で決め、自分で守るのは、トランプに言われることなく自明の理屈ですから、これは日本にとって大きなチャンスなのです」

 憲法改正論者の漫画家・小林よしのり氏はこう言う。

「トランプが尖閣を守るために米軍を出すわけがない。だからこそ、自主防衛のための憲法改正を議論せざるを得ないでしょう。これまでの自民党の憲法改正案がアメリカ依存を強めるための改憲案だったのに対し、対米依存を脱却し真の独立国になるための本来あるべき憲法改正が議論できる。

 わしは日本にもトランプみたいな政治家が現われればいいと思っている。トランプの暴言は、自国を守るための暴言でしょう。日本で暴言を言う政治家は、実際にはアメリカのために暴言を吐く者ばかり。トランプを見習ってほしいよ」

 トランプ大統領の誕生は、日本の平和ボケを覚醒させる好機かもしれない。

※週刊ポスト2016年11月25日号

関連記事

トピックス

10月には10年ぶりとなるオリジナルアルバム『Precious Days』をリリースした竹内まりや
《結婚42周年》竹内まりや、夫・山下達郎とのあまりにも深い絆 「結婚は今世で12回目」夫婦の結びつきは“魂レベル”
女性セブン
騒動の発端となっているイギリス人女性(SNSより)
「父親と息子の両方と…」「タダで行為できます」で世界を騒がすイギリス人女性(25)の生い立ち 過激配信をサポートする元夫の存在
NEWSポストセブン
宇宙飛行士で京都大学大学院総合生存学館(思修館)特定教授の土井隆雄氏
《アポロ11号月面着陸から55年》宇宙飛行士・土井隆雄さんが語る、人類が再び月を目指す意義 「地球の外に活動領域を広げていくことは、人類の進歩にとって必然」
週刊ポスト
九州場所
九州場所「溜席の着物美人」の次は「浴衣地ワンピース女性」が続々 「四股名の入った服は応援タオル代わりになる」と桟敷で他にも2人が着用していた
NEWSポストセブン
初のフレンチコースの販売を開始した「ガスト」
《ガスト初のフレンチコースを販売》匿名の現役スタッフが明かした現場の混乱「やることは増えたが、時給は変わらず…」「土日の混雑が心配」
NEWSポストセブン
希代の名優として親しまれた西田敏行さん
《故郷・福島に埋葬してほしい》西田敏行さん、体に埋め込んでいた金属だらけだった遺骨 満身創痍でも堅忍して追求し続けた俳優業
女性セブン
佐々木朗希のメジャーでの活躍は待ち遠しいが……(時事通信フォト)
【ロッテファンの怒りに球団が回答】佐々木朗希のポスティング発表翌日の“自動課金”物議を醸す「ファンクラブ継続更新締め切り」騒動にどう答えるか
NEWSポストセブン
越前谷真将(まさよし)容疑者(49)
《“顔面ヘビタトゥー男”がコンビニ強盗》「割と優しい」「穏やかな人」近隣住民が明かした容疑者の素顔、朝の挨拶は「おあようございあす」
NEWSポストセブン
歌舞伎俳優の中村芝翫と嫁の三田寛子(右写真/産経新聞社)
《中村芝翫が約900日ぶりに自宅に戻る》三田寛子、“夫の愛人”とのバトルに勝利 芝翫は“未練たらたら”でも松竹の激怒が決定打に
女性セブン
天皇陛下にとって百合子さまは大叔母にあたる(2024年11月、東京・港区。撮影/JMPA)
三笠宮妃百合子さまのご逝去に心を痛められ…天皇皇后両陛下と愛子さまが三笠宮邸を弔問
女性セブン
胴回りにコルセットを巻いて病院に到着した豊川悦司(2024年11月中旬)
《鎮痛剤も効かないほど…》豊川悦司、腰痛悪化で極秘手術 現在は家族のもとでリハビリ生活「愛娘との時間を充実させたい」父親としての思いも
女性セブン
田村瑠奈被告。父・修被告が洗面所で目の当たりにしたものとは
《東リベを何度も見て大泣き》田村瑠奈被告が「一番好きだったアニメキャラ」を父・田村修被告がいきなり説明、その意図は【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン