郵便局や銀行の窓口に置かれた野暮ったい“老眼鏡”とは異なり、最近では「リーディンググラス」と呼ばれるオシャレな老眼鏡が次々、登場している。人気番組『マツコの知らない世界』(TBS系)にも登場した眼鏡ライターの伊藤美玲さんが最新のリーディンググラスを解説する。
まず一つ目は、全世界で100万本以上を売り上げている「アドレンズ ライフワン」。フレームに取り付けられたツマミで度数を変化させられ、老眼だけでなく近視、遠視にも対応できる優れものだ。40代の初期老眼から、70代安定期の老眼の全てに対応。通常のメガネの約2/3である16グラムと軽量で付け心地は軽やか。ワイン、ブラック、ブルー、クリアー、グリーンの全5色。
「調節が簡単なので、東日本大震災の際も活躍したそうです。常時使用を目的としたものではありませんが、ひとつ持っていれば、お年寄りから子供まで、家族で使えます」(伊藤さん)
「クリックリーダー」は前側がマグネット式になっていて、カンタンに着脱できる。使わないときは首にかけられ、アクセサリー代わりにもなる。ブリッジ部分を切り離して着脱する。顔の大きさに合わせてつるの部分でサイズの調節が可能。火野正平、樹木希林、ジョニー・デップらが愛用している。
「老眼鏡は付けたり外したりが多いですから、首にかけておけることで、その煩わしさから解放されます」(同前)
オーストラリアから上陸した「seeooクラシック」も使用する際に鼻にかけるだけでいい、というお手軽感がウケている。昔ながらの鼻先に挟む老眼鏡。『ぐるぐるナインティナイン』(日本テレビ系)で俳優の柳葉敏郎が使用したことで話題となった。手のひらサイズの専用ケースが付属する。
収納時の利便性を極限まで追求したのが、メガネの聖地・福井県鯖江市が産んだペーパーグラスだ。その薄さ、なんと2ミリ! 眼鏡の本場・福井県鯖江発。たたむと2ミリの薄さになり、紙のように薄いことからこの名前がついた。楕円形、四角形など全3種フレームの形や、全5色から選べる。
「かけたとき、つるが曲線を描く斬新なデザインは、芸能人にも愛好家が多い」(同前)
従来の老眼鏡から乗り換えるだけで、オシャレジジイの出来上がりだ。
【プロフィール】伊藤美玲(いとう・みれい)/東京都生まれ。保険会社勤務時代に出会ったフランスブランドのメガネに感銘を受けて“メガネマニア”になる。その後、出版社に勤務。眼鏡ライターとして活動を始め、2006年に独立、現在は眼鏡専門誌などに寄稿している。
※週刊ポスト2016年11月25日号