織田裕二主演で月9ドラマ化し、社会的な大ブームとなった『東京ラブストーリー』。その25年後を描く続編『東京ラブストーリーAfter25years』(全7回)の連載が、女性セブンでスタートした。大反響となっている『東ラブ』について、生みの親である漫画家・柴門ふみさんに話を聞いた。
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赤名リカには、モデルになった数人の友人がいます。彼女たちは恋愛に真っすぐで、ものすごくパワーを持っていました。
連載開始前の構想では、リカは脇役でした。田舎から東京に出てきた完治とさとみと三上の3人がメーンのラブストーリーを考えていたんです。
ところが、実際に漫画を描いていく中で、リカが出ると話が動くんですね。場をかき乱す人がいてくれると、展開が刺激的になるんです。それで脇役のリカがメーンになっていきました。
「セックスしよ!」という言葉がすごくフィーチャーされましたが、私は「24時間愛してるから、24時間愛してほしい」というシーンが好きでした。あの頃の二十前後で恋愛にはまってる女の子は、それがいちばん正直な気持ちだったと思います。
続編を書いたきっかけは、ビッグコミックスピリッツ編集部から続編の読み切り作品を依頼されたからです。
過去の作品を読み返さないタイプなので、二十数年ぶりに読んでみたら、頭の中でリカとカンチが動き始めたんです。これなら続編を描けると思って、依頼を受けました。
続編を描き始めてみると、描きたいことがどんどんあふれてきました。読み切りはわずか40ページだったので、描き切れなかった無念さのようなものが残ったんです。そこで女性セブンで全7回の続編を連載することになりました。
今回のテーマは、「人生における時間の流れ」です。
夫婦だったり、かつての愛し合った恋人だったり、男女ふたりが時間の流れによって、どう変化するのか。関係性だけでなく、その人自身も変化しますよね。変化した部分と変化してない部分を表現できたらいいなと思ったんです。
その上で変化していない部分の中に実は大切なものがあるということを描きたかった。
私自身が、同窓会で青春時代の仲間たちに会うと、「老けたな~」とぎょっとするんですけど、話してるうちに、その人の変わってない部分を感じるんです。その変わってない部分と向き合ったときだけは、昔の時間に戻れる。変わった部分が出てくると、またわれに返るみたいな。時間が経ったからこそ味わえる甘美な体験だと思います。
多分、50才になった人たちはほぼ全員、経験しているんじゃないでしょうか。そういうところに共感してもらえたらうれしいです。
また、リカのモデルになった女性たちは全員、すてきなお母さんになっています。そうしたこともあったので、続編では、リカを、立派に子供を育て上げた母として描きました。
すでに全7回全部描き終わりました。最終回の“ある絵”が頭の中に浮かんでいて、それに向かって描いていきました。非常に満足しています。
※女性セブン2016年12月1日号