近年、優勝争いから遠ざかっていた早稲田大がトップに立ち、青学大を揺さぶるも大エース・一色恭志(4年)が逆転──例年以上のドラマがあった11月6日の全日本大学駅伝。その現場で「箱根の楽しみが増えた」と明かしたのは、駅伝情報満載のサイト・「EKIDEN NEWS」の“博士”こと西本武司氏だ。
●原監督の“誤算”と大八木監督の“新しい檄”
監督たちのキャラが全日本では際立った。青学大の原晋・監督にはレース中、テレビ、ラジオの報道陣が密着。バス移動の最中でさえ、増田明美さんの現場レポートで発言がそのまま放送され手の内はダダ漏れ。4区で安藤悠哉(4年)が早大に突き放されると、原監督からクールさが消え、「追え!」と珍しく語気を強めた。
一方、逃げる側の早稲田大学・相楽豊・監督は報道陣からノーマーク。リードを広げる展開に一瞬だけニヤリと笑う瞬間を撮影できて、私は満足だった。
そして駒澤大・大八木弘明監督だ。「漢だろ!」の檄はあまりに有名だが、厳しいだけではない。学生駅伝デビューとなった片西景(2年)が中央学院大学の廣佳樹(2年)と並走して粘っているところでは「よっしゃ! いいぞ」と激励。これまでの褒める檄は〈“今日のお前は違う!”が定番〉(駒澤大OB・西澤佳洋のツイート)だったから、今度の箱根は大八木監督の檄の“新レパートリー”にも注目だ。
●「2人の凛太郎」対決
全日本のメンバー表で気になったのは、早大1区の武田凛太郎(4年)と東海大5区の高田凛太郎(1年)の名前がそっくりなこと。武田は区間2位の好走、高田も1万m28分台を出した期待のルーキー。2人とも11月20日の上尾シティハーフに出走予定なので直接対決が楽しみだ。
現場に足を運ぶほど、箱根の楽しみは無限に広がる。
※週刊ポスト2016年11月25日号