プロ野球選手は、その年の成績次第で翌年の収入が大きく浮き沈みする。スター選手ほどその落差は大きく、億単位の年俸を手にした翌年、成績が振るわず大幅ダウンすると税金の支払うで苦しい思いをすることも。彼らの払う税額が大きいからこそ、どんな「節税策」があるのかも気になる。
個人事業主であるプロ野球選手の年俸は事業所得になる。つまり必要経費が認められれば、課税される所得を減らすことができるはずだ。明治大学から1985年にドラフト1位でヤクルトに入団した広澤克実氏が明かす。
「経費といってもなかなか難しいんです。シーズン中の交通費や宿泊費は球団持ちだし、グローブやバットはメーカーと契約をしていると無償でもらえる。そうなると経費として認められるのは体のケアに掛けたお金ということになる。トレーニング器具の購入費やジム代、トレーナーとの専属契約料、海外での自主トレ費用とかになります」
阿部慎之助(37)や内海哲也(34)ら巨人の高額年俸選手が、こぞって後輩を引き連れて毎年グアムなどで自主トレに励むのは税金対策の側面もあるということなのか。
「体が資本ということは税務署も認めてくれる。球場に乗っていくベンツなどは、“頑丈な車体で体を守る”という言い分が通って経費に認められます。だからこそ高級車を買う意味があって、これは6年償却になります」(広澤氏)
プロ野球選手といえばランボルギーニやフェラーリを乗り回した新庄剛志(元日ハム、阪神ほか)ら高級外車のイメージがあるが、それにも“意味”があったわけだ。
「スケールが大きかったのは球界初の1億円プレーヤーになった落合博満氏(現・中日GM)です。巨人にFA移籍した1994年、秋田出身なのに和歌山県太地町に自分の記念館を自主トレ施設兼用として建てた。現役選手の記念館なんて前代未聞だったので、税金対策ではないかと話題になりました。ただ、当初は観光バスも来て賑わっていたのが、巨人を去った1997年には閑古鳥になったというから、“収支”はわかりませんが……」(担当記者)
※週刊ポスト2016年11月25日号