10月23日、俳優の平幹二朗さん(享年82)が自宅浴槽で亡くなった。厚生労働省の調査では、入浴中の事故死者の数は、年間1万9000人。その半数は12月から2月に発生している。
原因は、急激な気温変化による血圧上昇で起きる「ヒートショック」によるものだといわれ、特に気温が低くなる秋から冬の時期に起こりやすいが、年齢も無関係ではない。6月に女優の白川由美さん(享年79)が急性心不全で亡くなったのもまた、風呂場だった。東京都市大学人間科学部教授で温泉療法専門医の早坂信哉さんがその理由を解説する。
「高齢になると血管が硬くなって、動脈硬化が進みます。そのため、寒い脱衣場から熱いお風呂に入って寒暖差で血圧が急上昇すると、血管が耐えられずに脳卒中や心筋梗塞を引き起こし、最悪の場合死に至るのです。また、女性は更年期になると女性ホルモンが減少し、動脈硬化が進みやすくなるので気をつけた方がいい。こういった事故は、入浴法を見直せば防げます」(以下「」内同)
◆一番風呂に入ってはいけない
きれいな一番風呂は気持ちいいけれど、「気をつけた方がいい」と早坂さん。
「浴室が温まっておらず、冷え切っている一方で、お湯は熱い。その温度差で、ヒートショックが起きる可能性があります」
大事なのは外気とお湯の温度差を減らすこと。2番目以降は浴室内に湯気が立って温かくなっている。1番に入る場合は、先にお風呂の蓋をあけ、水面にシャワーをあて湯気を立てよう。また、かけ湯もヒートショック予防になる。
「量は手桶10杯。申し訳程度に1~2杯、ではダメです。手足の末端からかけて、徐々にならしていってください」
◆41℃以上のお風呂に入ってはいけない
「お湯の温度が41℃以上だと、交感神経を刺激し、血圧と脈拍が上がります。熱いお風呂が好きな人も、40℃以下に心掛けてください」
さらに、汗が大量に出て意識がもうろうとするなど、脱水症状が表れることも。
「41℃のお風呂に15分入ると800ミリリットルの水分が失われるといわれています。すると、血液がドロドロの状態になり、血管が詰まり倒れやすくなります。入浴前にコップ1~2杯の水を飲むといいですね」
◆首まで浸かってはいけない