ブームは過ぎた、リストラが進行しているなど、最近ではネガティブなニュースが目立つゆるキャラ、ご当地キャラたち。現実に、2010年から毎年、開催されている「ゆるキャラグランプリ」では、第7回の今年、初めてエントリー数が前年より減少した。しかし、「マーケットそのものは大きくなっています」とキャラクター研究家の犬山秋彦さんは言う。
「2011年にキャラクター関連グッズ売り上げが億単位だったのは、その年のゆるキャラグランプリで1位になったくまモンの約25億円だけでした。ところが今は、くまモン以外にも続々と億を稼ぐキャラクターが登場しています。少なく見積もっても5年で10倍以上になっているので、ブームは過ぎたかもしれないが、マーケットとして定着したといえます」
ではなぜ、ゆるキャラ、ご当地キャラの世界が盛り下がっているような印象を与える話が続くのか。
「キャラクターが登場するイベント数そのものが増えているので、お客さんが分散しています。それぞれのイベントはお客さんが来て盛り上がっていても、極端に大勢の人が詰めかけて話題になる、ということがなくなりました。それに応じてテレビなどへの露出が全体として減っているので、それほど興味がない人には縮小しているように感じるのかもしれません」
それにしても、キャラクターのリストラが目立つのはどうしてだろう。
「くまモンブームでご当地キャラに注目が集まったのをみて触発され、公共施設を建設することがゴールである箱物行政と同じ感覚でキャラクターを誕生させる例がとても多かったからです。キャラクターを設定して着ぐるみを作ることがゴールで、どんな活動をしてゆくのかといった内容がきちんとしていなかった。そういうキャラクターが淘汰されてきたので、グランプリのエントリー数そのものが減ったのだと思われます」(前出・犬山さん)
ブーム初期のような派手さはないが、成熟してきたともいえるキャラクターの世界。トップクラスの人気者となるキャラクターと、それら以外ではどんな差があるのか。
「全国区の人気を得られるキャラクターは、やはり才能が突出していて誕生から1、2年でその地位に駆け上がります。最近増えているのは、地元密着で活動を続け、その地域での知名度と人気は抜群だが、全国区ではあまり知られていないキャラクターたちです。地元のイベントへこまめに出演するなど、大半はコツコツ地道な活動を続けているんですよ」(前出・犬山さん)