浅田真央(26)から笑顔が消えた。フィギュアスケート・グランプリ(GP)シリーズ初戦のスケート・アメリカでは6位、フランス杯では自己最低の9位に沈み、GPファイナル(12月8日開幕)の切符を逃した。
「自信がすべて失われた」
そう語り、テレビカメラの前で涙を見せた浅田だが、映す側のテレビ局からも苦悶の声が上がっている。
「特に今季の真央ちゃんの報道には、神経をすり減らしています」
そう話すのはテレビ局の情報番組スタッフだ。
「国民的スターの真央ちゃんのネガティブな話を放送すると苦情が殺到します。フジの『とくダネ!』が過去に、“ミスがなければ真央ちゃんよりキム・ヨナが勝っていた”と報じて猛批判が起き、釈明に追い込まれたことがありました。いまではジャンプでゆがんだ顔だけでなく、真央ちゃんの『選手としての限界』を示唆する表現まで自粛しています。
厳しい試合内容でも何かしら良かった点を挙げて『次につながる』と希望が持てる形にしますが、最近はそれすら見当たらず、毎回『ジャンプさえ決まれば』がお決まりのフレーズです」
別の情報番組のディレクターはこう語る。
「フィギュアは視聴率を稼げる優良コンテンツ。フィギュア界との関係を重視して、解説者にも厳しい批評は求めません。ましてや、浅田に『引退』を勧めるような論調は禁句。時々、“空気を読まない”コメンテーターが、厳しいことを口走りそうになるので、それが一番ヒヤッとします」
そんなテレビ業界の目下の懸案は、次に浅田が出場予定の全日本選手権(12月22日~)だという。
「現在の日本国内での順位がハッキリ出てしまうから、結果が悪ければ“本調子に戻ればまだまだやれる”と言っても、さすがに白々しくなってしまう」(同前)
報じる側も、どう“着氷”するかで悩んでいる。
※週刊ポスト2016年12月2日号