「故障前の昨年10月、ドライバーのシャフトを30g重い90gに替えてからショットの調子がよくなり4か月ほど使いました。
重いクラブにしたことが腰痛の原因かどうかはわかりませんが、痛みが出た当初は1か月ぐらいで復帰するつもりでした。ところが、骨の周辺が炎症を起こし、痛みが完全に取れるまでに半年近くかかったこともあって、いろいろ試してクラブの重さを元に戻しました。これほど長い期間打たなかったことはないので、自分の体でないような気分でした」
ボールを打たなかったとはいえ、頭の中はゴルフのことばかり。体の構造や仕組みについて勉強したという。
「少しでも体に異変を感じたら、根本的な原因を探るようになりました。万全の体調で試合に臨むことを常に心掛けて、1球打つたびに一喜一憂するのではなく、自分の基盤となる部分を高める練習に重点を置いています」
事実、日本オープンでは筋肉疲労を理由に開幕前日の練習ラウンドをキャンセル。「技術を保つだけの練習はやらない」と決め、クラブを握らない異例の“ノースイング”調整をした。
また、石川はマシンを使ったウエイトトレーニングをしない。鉄棒の懸垂など、自重を利用したトレーニングをした後10球打つ、というメニューを繰り返すことで自分の身体の動きに適した筋肉をつけている。
●取材・文/鵜飼克郎 ●撮影/藤岡雅樹
※週刊ポスト2016年12月2日号