各界の業界人がなぜか信じるジンクス。野球界にも多くある。
◆カブス「ヤギの呪い」VSインディアンス「コラビトの呪い」
今年のワールドシリーズ(WS)は〝呪いのシリーズ〟と呼ばれた。「108年もの長きにわたりカブスを世界一から遠ざけた理由といわれたのが『ヤギの呪い』。1945年のWSで、ヤギを連れて観戦しようとした居酒屋店主が入場を断わられて、“二度と世界一になれない”と言い放ったことに由来します。一方のインディアンスにも、本塁打王のロッキー・コラビトの放出以来68年間優勝がないことを指す 『コラビトの呪い』がありました」(MLB研究家・福島良一氏)。結果、カブスが世界一に。「呪いの力」の強さはコラビトに軍配?
◆2年目のジンクスは本当か?
新人王では2008年・小松聖(15勝→1勝)のような例もあるが、2008年・山口鉄也(23H→35H)、2009年・摂津正(34H→38H)、2012年・野村祐輔(9勝→12勝)など2年目に伸びる例も実は多い。昨年新人王の山崎康晃(DeNA)、有原航平(日ハム)も2年目は好成績。
◆「代わったところに飛ぶ」
澤田監督は「直前の打者2人を敬遠する間に交代を決断した」と明かした1996年夏の甲子園決勝戦。延長10回裏に1死満塁のサヨナラのピンチを迎えた松山商・澤田勝彦監督は、ライトを3年・矢野勝嗣に交代させる。
熊本工の打者のフライがそのライトに上がり、矢野がノーバウンド返球。高校球史に残る名場面だ。強肩の矢野を起用したのはジンクスを信じたのか。澤田監督に聞いた。
「私はあまりジンクスを信じないタイプ。次のバッターが引っ張る打球の多い左打者だったので、ライトに矢野を使った。過酷な練習に耐えてきた矢野への信頼もありました。外野からの返球は中継かワンバウンドと練習させていたが、1度だけ“サヨナラの場面ではノーバウンド”と教えたことがあり、矢野はそれを覚えていたそうです」
11回表、その矢野は先頭打者で二塁打。送りバント、スクイズを絡め、一挙に3点を奪って勝負を決めた。
「ジンクスはわかりませんが、野球に神様がいることだけは間違いないと思った試合でした」(澤田監督)
※週刊ポスト2016年12月2日号