「ええ~本当! って感じです。私が在学していた頃はそもそも女学生なんてほとんどいませんでしたから。それにしても、驚きました」
こう話すのは、東京大学OBの経済評論家・森永卓郎氏だ。東大が発表した女子学生への「家賃補助」制度へのリアクションである。来春入学する地方出身の女子学生らを中心に、毎月3万円の家賃補助を最大2年間行なうという。
現在約20%の女子学生の割合を増やすための措置だというが、日本の国立大学の頂点に立つ東大の発表だけに波紋を呼んでいる。
東大のみならず、実は大学における「女性優遇」は以前から存在している。大阪電通大は公募推薦入試で、女子受験生に「最初から点数を加点」する制度を全学部で導入している。ネットなどを確認すると、男性の受験者からは「男女差別だ」との声も上がっている。
2011年には九州大学が理学部数学科の定員に「女性枠」を設けようとしたものの、批判を浴びて撤回した。
世の中を見渡せば、他にも“何だかなぁ……”と思いたくもなる“女性優遇”はたくさんある。
すっかり定着した感のある「女性専用車両」に対しても、朝日新聞の『声』欄にこんな投稿が掲載されたことがある。
男性の障害者がやむを得ず女性専用車両に乗ったところ、周囲の女性客から白い目で見られ、泣く泣く次の駅で降りたというのだ。女性専用車両には障害を持つ男性や小さな子供連れの男性も乗車できる規定だが、女性乗客は「私たちだけのもの」と思いこんでいるのかもしれない。
鑑賞料が割り引かれる映画館の「レディースデー」、ゴルフ場の「女性割」、居酒屋の「女性グループ割引」など、女性優遇のサービスは数え上げたらキリがない。今年9月には「男性様のみのご来店×」の看板を掲げた東京・新宿のイタリアンレストランに批判が殺到する騒ぎも起きた。
前出・森永氏が指摘する。
「いまは企業にしても店にしても、財布の紐を握る女性を取り込まなければビジネスが伸びない状況です。仕方のない側面もある」
たしかに企業の営業努力と言われれば口を出すことはできない。だが、平等であるべき国の制度や政府の発言からも男性は冷遇されているように感じられる。
※週刊ポスト2016年12月2日号