11月24日から豪州で行なわれる国別対抗戦「ゴルフW杯」では、日本代表として石川遼(25)と松山英樹(24)がコンビを組む。各国のワールドランキング上位の選手がパートナーを指名するというやり方で、最上位の松山は石川を指名した。
「英樹に指名されたと聞いて、『僕なんかでいいのか』と一瞬悩みました。英樹にも率直に聞きましたが、『遼がいい状態に持っていってくれれば、俺たちならやれると思うんだ』と。すごく嬉しかったのと同時に、重い言葉として受け取りました」(石川)
「W杯は勝たなくてはいけない試合」という思いで挑む石川は、優勝だけを目指すという。それがゴルフの底辺拡大につながると確信しているからだ。
「僕は丸山茂樹さんに憧れ、『将来、米国ツアーでやりたい』と思いました。だから、僕自身もジュニア選手の目標となるようなプレーをしたいのです」
石川はジュニア選手に、「スコアにこだわるな」とアドバイスする。
「スコアのことを考えないと、ショットは優しくなるものです。逆に、スコアを考えると、すべてのショットがスコアに縛られてしまう。スコアにこだわるのは、ゴルフのレベルが伸びてからで遅くありません」
今年3月に入籍を発表した石川。結婚がゴルフや生活全般に与えた影響は少なくない。
「二人でゴルフの話を沢山するんです。僕とは違う視点から気づかないことをズバリと指摘してくれるので、新鮮だしとても感謝しています。食事に関して勉強しているようですが、全部美味しいですよ。アメリカで生活していると、ついファストフードに手が伸びますが、結婚してからほとんど食べていません(苦笑)」
気の早い話だが、もし子供が「プロゴルファーになりたい」と希望したらどうするのか。
「厳しい世界であることを話して、それでもやりたいというのならチャレンジはさせます」
自分自身のこと以上に、日本ゴルフ界や自分の周囲に気を配り、将来を見据える。松山に続き、世界での飛躍の日はそう遠くないかもしれない。
●取材・文/鵜飼克郎 ●撮影/藤岡雅樹
※週刊ポスト2016年12月2日号