香港出身のアクションスター、ジャッキー・チェンが米ハリウッドで行われた第8回ガバナーズ賞で名誉賞を受賞し、長年の念願だったオスカー像を手にした。これについて、中国各紙は「華人の俳優としては初めてで、ジャッキー・チェンのこれまでの映画界への功績が認められた」(北京紙「京華時報」)などと手放しの喜びよう。
その一方、台湾では時を同じくして、ジャッキーが台湾の故宮博物院に寄贈した十二支像のレプリカの撤去が正式に発表されており、まさにジャッキーにとって中国と台湾で明暗がはっきりと分かれた格好だ。
ガバナーズ賞は、アカデミー賞を主催する映画芸術科学アカデミーが、映画界に貢献した人物に授与する賞。
ジャッキーは「これまでの56年間で、200本以上の映画をつくり、たくさん骨折をして、ついにオスカー像をいただくことができた」とユーモアを交えたスピーチを披露し、終始笑みを絶やさなかった。
ジャッキーがオスカー像を欲しいと思ったのは、23年前に米アクション俳優のシルベスター・スタローンの自宅でオスカー像を見たときからで、「やっと自分も手に取ることができた」とご満悦。
このスピーチではジャッキーの親中ぶりも披露され、「素晴らしい街であり、ぼくの生まれ故郷である香港よ、ありがとう。わが国、中国。中国人であることを誇りに思っています」などと続けた。
これについて、中国のインターネット上では「おめでとう、ジャッキー・チェン!われらが中国人の誇り。これからも、中国とともに歩んでほしい」などとの書き込みが見られた。
一方、台湾の故宮博物院に寄贈した十二支像のレプリカ撤去については、これまでも報道されていたが、奇しくも同賞受賞と時を同じくして正式発表。
レプリカについては、中国寄りだった馬英九政権時代に寄贈されていたが、反中機運が強い民主進歩党の蔡英文主席が台湾総統に当選したことが、ジャッキーにとって逆風となり、あれよあれよという間に、これまで故宮に展示されたレプリカ撤去が決定されてしまった。
それまでも台湾では「中国側による統一工作の一つ」「複製品の押し付け」などといった批判も聞かれていたほか、赤ペンキがかけられるなど、台湾内で物議を醸していた。