20%以上の高視聴率を記録しているNHK連続テレビ小説『べっぴんさん』。戦後の混乱期、兵庫、大阪を舞台に、女性たちが子育てに追われながらも子供服店を立ち上げていく姿を描く。デビュー3年目にしてヒロインに抜擢された芳根京子(19才)に注目を集まるが、そんななかでも存在感を見せているのが明美役の谷村美月(26才)だ。コラムニストでテレビ解説者の木村隆志さんが、谷村の女優としての魅力に迫る。
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『べっぴんさん』の見どころは、何と言っても「キアリス」4人娘の奮闘。ヒロインのすみれ(芳根京子)、女学生時代の友人である良子(百田夏菜子)と君枝(土村芳)、女中の娘として育った苦労人の明美(谷村美月)が、力を合わせて店を営む姿が感動を誘っています。
ただ、ヒロインの芳根京子さん、アイドル・ももいろクローバーZのセンターを務める百田夏菜子さん、初の連ドラレギュラー出演で「あの子は誰?」と話題を集める土村芳さんに注目が集まる中、谷村美月さんがクローズアップされる機会はあまりありません。
谷村さんは4人の中で最年長であり、女優としてのキャリアも断トツ。「なぜ損な役回りをしているの?」と感じた人もいると思いますが、むしろそのような難しいポジションこそ谷村さんの十八番なのです。
明美は幼少期の辛い経験から、すみれを冷たく突き放すなど暗い影を見せていましたが、良き理解者となったあとも、4人の中で唯一結婚や出産をせず孤独なまま。もともと裁縫の技術がない上に、3人の夫が帰還したことで、“明美だけ蚊帳の外”という状況が鮮明になりました。しかし、谷村さんはそんな難役を3人とほどよい距離感を保ちながら淡々と演じています。