「このままでは日本の財政は破綻する!」──財務省とメディアはそう煽り、国民は「それなら増税もやむなしか」と思い込まされている。しかし、経済評論家の上念司氏は、日本は「借金大国」どころか、世界一の「金持ち国」だと解説する。
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2015年末の統計では対外資産948兆円に対し対外負債609兆円、対外純資産は339兆円。要するに日本は世界に対する“金貸し国”なのだ。
対外資産の中に「外貨準備高」が148兆円あることも指摘しておきたい。外貨準備で為替介入のための資金をこれほど保有している国はない。これだけ日本政府の資産には余裕があるのだから、消費税1%で2兆円の税収が見込めるというのであれば、外貨準備で保有している米国債100兆円を売却すれば、理論的には今後25年間は2%消費増税する必要がないことになる(もちろん現実に売ればアメリカが黙ってはいないが、少なくとも増税する根拠は乏しいと言える)。
また、財政再建が国債を減らすことを指すのであれば、政府系機関の民営化を推し進めて民間企業として再生させればいい。例えば政府の出資を受けるUR(都市再生機構)は都心の一等地に高級賃貸マンションを建設しているが、そんなことを政府が支えて行う必要はない。こうした政府系機関を民間にシフトさせれば、数兆円規模で国庫に取り戻せるはずだ。
日本経済の強みを財務省、および政府も強調すべきなのに、なぜこれほど借金ばかりが強調される悲観論が横行するのか。