年の瀬も迫り、プロ野球界ではいよいよ契約更改シーズンが本番を迎えている。大幅アップもあれば大幅ダウンもあるのがプロ野球界だが、時には、選手個人の成績とは別の、球団の経営事情が影を差すことがある。
「チームで一番年俸の高い“プライスリーダー”が大幅ダウンを受け入れた場合、他の選手もダウンに応じざるを得ない空気ができる。球団はそれを利用して年棒総額を抑えようとする。そうした駆け引きも更改交渉の醍醐味です」(担当記者)
6600万円減の年俸2億6000万円でサインした巨人・阿部慎之助(37)や“半減”の内海哲也(34)、56%減の7000万円を受け入れた楽天・松井稼頭央(41)ら、「大幅減俸で合意したビッグネーム」が更改シーズン序盤に呼ばれることには、きちんと意味があるのだ。
球団ごとに年俸総額の予算も違う。ヤクルト、巨人、阪神で4番を打ったキャリアのある広澤克実氏は「同じような成績でも、やはりヤクルトより巨人のほうが厚遇だった」と振り返る。また、優勝すればチームの収益が上がるので、総年俸の予算も増やしやすい。反対にチームの低迷が続くと減収で予算が減り、補強がうまくいかなかったりしてチームは悪循環に陥る。
「広島は今年、黒田(博樹、41)が引退して年俸6億円が浮く上に、優勝による増収がある。他の選手の予算を確保した上で、黒田の穴を埋める補強費にも回せます」(前出の担当記者)
※週刊ポスト2016年12月9日号