芸能

左利き・林家三平 『笑点』で右手の挙手は自信がない時

高座上では右手で『時そば』

 落語といえば、軽妙な語り口にあわせて披露される所作が重要だ。その所作はマジョリティに合わせているため右利きの姿で描かれる。ちなみに日本では左利きの割合は10%だという。笑点の大喜利メンバー最若手の林家三平は、プライベートでは左利き。右利きに合わせるため、どんなことをしてきたのか。思わず左利きが出てしまうときはどんな時なのかについて語った。

 * * *
 我が家は私と上の姉(海老名美どり)が左利きですが、父(初代・林家三平)からは直すように言われることもなく、個性を尊重してのびのび育ててくれました。ですが落語の世界では左利きは“御法度”なので、「噺家の家なのに、なんで直さないの?」とよく聞かれましたね。

 江戸の落語の根底には、武士の作法があります。

 武士は刀を左にさして、外したら右に置く。右側にある刀は、右手ですぐに抜けませんから、「あなたに敵意はありません」と示しているのです。高座で手にする扇子も右手で開く事が前提になっていて、左手ではうまく開かない作りになっています。高座で『時そば』をやる時も、そばをすする場面では当然、右手に扇子を持ちます。

 そうした所作はすべて最初から右手で教わったので、そもそも右に変えたという感覚自体がありません。

 でも、時代劇では苦労しました。ちゃっかり八兵衛役で出演した『水戸黄門』では、食事のシーンで何度NGを出したことか!

 右手で箸を使いながら「ご隠居ぉ」と話しかけると、鮒寿司がポロッと落ちる。すかさずご隠居(里見浩太朗)に「八兵衛、またやりましたか」なんて言われてね(笑い)。撮影期間は右手で箸を持ち、豆を1粒ずつ食べて練習しました。

『笑点』も高座での番組なので右手で挙手していたのですが、右手を挙げると袖が邪魔して、司会の(春風亭)昇太兄さんと目が合わない。だから、最近では自信がある答えの時は、左手で挙手して、昇太兄さんに目線でアピールしています。右手の時はハイ、自信がちょっとない時なのかな(笑い)。

●はやしや・さんぺい/1970年生まれ。林家いっ平として父・三平に師事し、海外での英語落語なども行なった。2009年に林家三平を襲名。2016年5月より日本テレビ系『笑点』の大喜利メンバーに加入。

※週刊ポスト2016年12月9日号

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