親友に絡む一連のスキャンダルで、韓国検察に「共謀関係」と認定された朴槿恵大統領が29日、任期満了前の辞任を表明した。朴大統領はかつて演説の中で、「統一テバク」(統一は大当たりだ)という言葉を使い、統一への意欲を語っていたが、それも逮捕された崔順実氏のアイデアだったとされる。
もっとも、朴大統領が辞任を表明したにもかかわらず、韓国国内では朝鮮統一に進むのではないかという見方が強まっているのだという。ジャーナリストの河鐘基氏が語る。
「ポスト朴と目される次期大統領候補4人はいずれも朝鮮統一に前向きで、とくに有力候補の文在寅氏は最近も『統一を志向することは大韓民国の宿命』とフェイスブックに書き込み物議を醸しました。朴政権への退陣要求デモにも、親北朝鮮団体の関与が取り沙汰されており、韓国では朝鮮統一への動きが高まりつつあります」
韓国が朝鮮統一に向かうことの危険は、それが「核武装」とセットになっている点だ。
「韓国ではアメリカのトランプ大統領誕生を機に『自主防衛のために核武装が必要だ』という議論が高まっていますが、統一問題を研究するシンクタンクは、南北の軍事力を均衡させる一方、米国を遠ざけて対話をするためにも統一には核武装が不可欠と主張しています」(同前)
どのみち朝鮮統一すれば韓国は北朝鮮の核技術を手に入れることになる。朴大統領の辞任表明を機に、韓国は「朝鮮統一と核武装」という危険すぎるシナリオに向けて動き始めた。
※週刊ポスト2016年12月9日号