ひとたび高血圧と診断されれば、医師から薦められる「降圧剤」。主なものをあげてみよう。
「カルシウム拮抗剤」は、血管を拡張することで血圧を下げるタイプのものだ。降圧剤は大きく分けて「カルシウム拮抗剤」に加え、「利尿剤」「ARB」「ACE阻害剤」「アルファ遮断薬」「ベータ遮断薬」「アルファベータ遮断薬」の7種類に分類される。
「利尿剤」は国内で最も多く服用されている降圧剤で、体内の塩分と水分を排出することにより血液量を減少させて血圧を下げる。「ARB」は血圧を上げる物質の生成そのものを阻害する。「ACE阻害剤」は末梢血管を拡張して血圧を下げる。「アルファ遮断薬」は交感神経のアルファ受容体に作用して、太い血管を拡張する。「ベータ遮断薬」は交感神経のベータ受容体に作用して、末梢血管を拡張する。「アルファベータ遮断薬」はこれら2つの遮断薬を組み合わせたものだ。
降圧剤全般に指摘されることだが、特にARBやACE阻害剤、利尿剤、ベータ遮断薬はインポテンツ(ED)を引き起こす可能性が高いとされる。ユナイテッドクリニック池袋駅前院の細田淳英院長が話す。
「これらの降圧剤は、副作用としてEDを引き起こす可能性があると日本性機能学会が監修する『ED診療ガイドライン』に明記されています」
神奈川県に住む男性・Aさん(60)が体験を語る。
「降圧効果が高くて安価な利尿剤を飲み始めました。降圧効果は服用してその日から出てきたのですが、服用し始めて2週間ぐらい経ったころから、突如、朝勃ちがなくなってしまった。『血圧が下がってきたせいかな?』と最初は浮かれていましたが、夜の肝心な時も、ウンともスンともいわない。医師に相談して、降圧剤を違うタイプに変えてもらうと、EDは改善されました」
2006年にギリシャでメンデル・ドーマス博士が高血圧患者を対象に実施した調査結果によれば、降圧剤を服用した高血圧患者の40.4%がEDに罹患したという。また、1つの降圧剤よりも複数の降圧剤を併用している患者の方がED罹患率は高かった。
※週刊ポスト2016年12月9日号