11月22日の早朝、マグニチュード7.3、震度5弱を記録する大地震が福島県沖で起きた。福島の沿岸部では3.11の東日本大震災以来となった津波警報が発令され、福島県内だけで3000人以上が避難した。
NHKでは6時を告げる「おはよう日本」のタイトルコール直後に、「緊急地震速報です。強い揺れに警戒してください」という第一報が流れ、福島第一原発の映像に切り替わった。各地の震度を伝えるなか、気象庁が津波警報を発令。その瞬間、落ち着いた口調で定評のある芳川隆一アナの声のトーンが一変した。
「津波警報が出ました。今すぐ逃げてください! 皆さん、東日本大震災を思い出してください。命を守るため、今すぐ逃げ……」
一時音声が乱れるなか、「津波到達予想時間」が画面に出る。「宮城県6:20」、「岩手県6:30」などとあるなか、福島県だけは「すぐ来る 3m」の表示。 画面上部には赤い囲みで「すぐにげて!」という巨大なテロップが出た。「すぐ避難を!」と何度かスイッチし、いざ津波が到達すると「つなみ! にげて!」の表記に変わった。
まるで津波の恐怖を煽り立てるようなテロップや呼びかけに、驚いた視聴者も多かったはずだ。
では、実際に避難した人たちは、テレビ放送をどう受け止めたのか。テレビを見てすぐ避難したといういわき市議会議員、木村謙一郎氏の声。
「携帯の地震速報がワンワン鳴って、テレビをつけたら、『にげて!』と大きく表示されていて驚きました。震災で自宅ごと流されたので、津波への恐怖は強い。緊迫感がある放送だったので、急いで避難しました。
東日本大震災の時は、伝えられた想定よりもっと大きな波だったので、何mと言われるより、『警報が出たから、とにかく逃げろ!』と呼びかけられるほうが分かりやすい。
結果、“60cmならあんなに騒がなくても”とか“もっとゆっくりしておけばよかった”という声もありましたが、無事でよかったねという話なので。今回のテレビ放送についてはおおむね好評です」