慢性的な病に悩まされる人は少なくない。花粉症など、いったん発症すると一生のお付き合いだといわれている。ところが、年を取ることによって、その症状が軽くなることがある病気がある。そのなかから、いくつか紹介しよう。
●偏頭痛
慢性的な偏頭痛に悩まされる人は少なくないが、高齢になると解放される場合が多いという。神経内科が専門の医師・米山公啓氏がそのメカニズムを解説する。
「脳内を通る血管が拡張し、周囲を圧迫することによって起きるのが偏頭痛です。加齢により脳血管の動脈硬化が進んで、血管が広がりにくくなると頭痛は起きにくくなります」
動脈硬化も悪いことばかりではないようだ。
●花粉症・アレルギー性鼻炎
72歳のAさんは、この春から晴れて花粉症から解放されたという。
「目のかゆみや鼻水がひどく、マスクはもちろん、ゴーグル、帽子で完全防備しないと外出できないほど重症だったのですが、ここ3年ほどで徐々に軽くなりました。飲み薬で眠気と戦うこともなくなった」
日の出ケ丘病院のホスピス医の小野寺時夫医師がいう。
「花粉症や鼻炎などは自分の免疫機能が過剰反応して起きるアレルギー性疾患です。加齢によって免疫機能が低下するので、徐々に症状が弱くなる」
●膠原病
関節リウマチなどの膠原病は女性に多い病気と思われがちだが、男性患者も2割を占める。在宅医療を実践する長尾クリニック院長・長尾和宏医師がいう。
「30~40代から患う人が多い膠原病も自己免疫疾患のひとつ。アレルギー性疾患と同じように加齢によって免疫機能が落ちると、強い症状が出なくなります」
噛みつかれたような痛みが生じる関節リウマチだが、“戦い”にはいずれ終わりが来るようだ。
※週刊ポスト2016年12月9日号