年を取ると、病気ばかりを気にする毎日。そんなイメージを持つ人が多いだろうが、実際には、年を取ることによって、その症状が軽くなる病気も存在する。
●インフルエンザ
冬将軍が到来し、インフルエンザ流行も本格化。今年は11月時点で、すでに患者数の基準を超え、注意報が発令された県もある。厳重な警戒が必要だ。
しかし、高齢者はインフルエンザに罹りにくいというデータがある。国立感染症研究所では2013年から2016年までの3シーズンでインフルエンザで受診した人を年齢別に分類。いずれの年も最も多いのが5~9歳の小児で20%前後を占める。
一方、70歳以上は2013~2014年シーズンで4%、2014~2015年シーズンで8%、2015~2016年シーズンでは5%と低い水準が続いている。
この結果に日の出ヶ丘病院のホスピス医・小野寺時夫医師も「たしかに高齢者はインフルエンザに罹りにくいという実感はありますね」と頷く。
ただし、高齢者がインフルエンザにかかると重症化し、死に至るケースも少なくないため、注意が必要となる。
●二日酔い
忘年会シーズンが本格化する12月。知っておきたいのが2013年に南デンマーク大学のチームが発表した「年を取ると二日酔いが起きにくくなる」という学説だ。同調査によれば「飲んだ翌日は二日酔いになる」と回答した男性は20代では62%に達するのに対し、60歳以上ではわずか14%だった。横浜悠愛クリニック理事長の志賀貢医師の解説。
「年を取ればお酒に弱くなる。体内のアルコールを分解する酵素の働きが加齢によって弱まり、飲める量が減るからです。飲む量を自制できるようになるため、当然二日酔いは少なくなる」
年齢を重ねれば、痛い目に遭った過去を教訓にできるようになる、ということか。それらは安らかに老後を過ごせるよう、天が与えた贈り物なのかもしれない。
※週刊ポスト2016年12月9日号