「党員間で名前を呼ぶときには『同志』と呼ぶように」という一文が最近、改訂された中国共産党のガイドライン集に復活していたことが分かった。これを報じた香港の英字紙「サウスチャイナ・モーニング・ポスト」の取材に対して、専門家は「毛沢東時代に逆戻りする時代錯誤の指針だ。習近平国家主席が統制強化のために打ち出したのだろうが、気色悪い」などとのコメントを寄せている。
中国では10月下旬の党の中央委員会総会で、習氏について、「習近平同志を核心とする党中央」などと習氏をかつての毛沢東と同じく「核心」と位置付けることを決定しており、専門家の間では、毛沢東を強く慕う習氏の権力一極集中のための権威づけと受け取られている。
ガイドライン集では「同志」という呼び方について、「党中央は中国の革命時代に使われた政治的な規範を復活させることを決めた。党員はお互いを呼ぶときには『同志』という呼び方を使い、革命時代の党員が兄弟姉妹のように親密だったことを学ぶべきだ」と断ったうえで、「現在の党内の無秩序から秩序を取り戻すための措置である」などと指摘している。
これについて、北京市在住の歴史家は同紙に対して、「共産主義への忠誠を誓うための措置で、毛沢東主席時代への逆行であり、いまの時代では世界の潮流に逆らう愚策でしかない」などと強く批判。
また、ある政治学者は「これこそ無秩序で混沌とした時代への回帰だ。今の世の中では世界のどこでも、こんな真似はしないだろう」と痛烈に皮肉っている。
また、ある評論家は「毛沢東時代には文化大革命という中国全土を混乱に陥れた政治的な事件が起きており、『同志』という呼び方はその象徴だ。この決定は全く歴史の教訓を顧みていないことを示している」とも述べており、今回の決定をめぐって「同志」論争が起きかねない勢いだ。