2016年11月5日から公開されている大ヒット映画『溺れるナイフ』で主人公、夏芽(なつめ)役を演じる小松菜奈(20才)。夏芽は、東京の人気モデルでありながら、遠く離れた田舎町に引っ越すことになり、そこで出会ったコウ(菅田将暉)と恋に落ちる女の子。小松は、自分自身と役柄を重ね合わせたありのままの自分の恋愛感を、ファッション・カルチャーマガジン『Maybe!』vol.2(小学館)で語っている。
過去に2人が共演した映画『ディストラクション・ベイビーズ』の裏話なども含んだ、小松菜奈のインタビューの一部を紹介する。
――菅田さんとは『ディストラクション・ベイビーズ』に続いて、2度目の共演ですね。
小松:菅田さんは、現場でも普段でも俳優として目が離せなくて。出ている作品は映画もドラマも気になって見ちゃうんです。現場でも、必死で追いかけてしまって。監督の要望で急にセリフが変わったシーンがあったんですけど、私はすぐセリフが入るタイプじゃないので、すごくテンパってしまったんです。それで菅田さんが「練習する?」って言ってくれたんですけど、夏芽とコウちゃんは距離がある役なのに、練習した感じが画面に現れてしまうんじゃないかと思って。「大丈夫、大丈夫」って言ったこともありました。でも菅田さんがリードしてくれたから、助けられたことは多いです。
――ベタな質問ですけど、本当に好きになったりしないんですか?
小松:それはまた違うんですよね。前作で激しいシーンを演じているから、何をしても受け止めてくれるし、私も菅田さんを受け止められる自信がありました。
――山戸結希監督の映画は初めてのご出演ですが、現場はいかがでしたか?
小松:山戸監督は、誰よりも夏芽でした。夏芽自身と言ってもいいぐらい。撮影中、“コウちゃん”をずっと目で追っているんです。もしかしたら、コウちゃんに恋をしていたんじゃないかな。だからその分、菅田さんへの要求も多かったですね。「私のコウちゃんには、こうあって欲しい」という思いを強く感じたし、髪型ひとつにも意味を持たせていて、表現が独特でした。
――監督が夏芽自身だとしたら、小松さんへの要求も多そうですね。
小松:毎日泣いて、悔しい思いをしてホテルに帰ってきてました。3週間の短い撮影スケジュールというのもあって、本当に辛くて、精神的にもかなりハードでしたね…。いつも泣いているから、目が腫れてるし、私、疲れると目がしじみみたいになっちゃうんですよ(笑)。だから、氷嚢(ひょうのう)を目に乗せながら休憩してて。こんなに現場で泣いたのは初めてですね。言葉にできないほどの過酷さを味わいました。
◇小松菜奈(こまつ・なな) 1996年2月16日生まれ。東京出身。2016年は『黒崎くんの言いなりになんてならない』、『ディストラクション・ベイビーズ』、『ヒーローマニア-生活-』に出演。今後『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』などの公開が控えている。
『Maybe!』では、長谷川航一朗(コウ)役の菅田将暉のインタビューや、監督の山戸結希と原作漫画家のジョージ朝倉によるスペシャル対談も同時掲載されている。