伝統工芸の提灯に現代の最新技術を搭載した新感覚の照明器具が「癒される」と人気だ。作っているのは、慶応元年(1865年)創業の「鈴木茂兵衛商店」(茨城県水戸市)。江戸時代に水戸藩で生まれた「水府提灯」の老舗だ。同社専務の由元君平さんは、開発のきっかけをこう話す。
「2008年末、水戸の偕楽園で毎年3月に開かれる『夜梅祭』の茶会で、来場者の足元を照らす、常夜灯の製作の依頼を受けました。そこで、7代目当主の鈴木隆太郎の幼なじみであるデザイナーのミック・イタヤ氏に、提灯のデザインを依頼したのです」
提灯は球形や円筒形が中心だが、届いたのは、S字形や竹のように節がある形など、これまでの提灯にはありえない形ばかり。しかも、製作期間は1か月を切っていた。
「模索しながら作っていきましたが、茶会が開かれる『好文亭』には、電源が取れない、火が使えない、足元を照らすだけの明るさが必要、建造物にフックなどの施工ができない、という制限がありました。
そこで、当時は一部の商品にしか採用していなかった電池式LED電装を内蔵。独自の自立式スタンド構造(特許登録済)を応用し完成しました」(由元さん・以下「」内同)
この構造をベースに、2011年から本格的に販売を始めたのが、ユーモラスなデザインの「MICシリーズ」だ。
なかでも「とり」は、コロンとした愛らしいフォルムで、人気を得ている。
「ろうそくの灯りを再現しようと“ゆらぎ機能搭載オレンジLED”を開発し、使用しています。それにぶつかっても倒れない、起き上がりこぼしのようになっています」
従来の提灯の機能はそのままで、畳んでしまえるのも嬉しい。さらに、暗がりでスイッチがつけやすいよう、音でオン・オフが切り替わる音感センサーが内蔵されている。
電源は単三乾電池×2、または付属専用アダプターDC3Vの使用を。
※女性セブン2016年12月15日号