大谷翔平の価値が、いよいよ国境を超えて試されることになりそうだ。米メジャーリーグの情勢に詳しいスポーツジャーナリストの古内義明氏が指摘する。
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日本ハムの大谷翔平が、入団5年目の史上最高額となる2億円7000万円(推定)で契約更改した。加えて、早ければ高卒5年目となる来年オフにポスティング・システムを利用してのメジャー挑戦を容認されたという。
「大谷は、メジャーで二刀流が可能か否か」
多くの野球ファンの興味はこの一点に尽きるだろう。私の答えは「イエス」である。
確かに、メジャーの先発として、「30回先発と200イニング登板」は一流の証であり、大谷にも高いハードルが求められることになる。その他にも、大谷を待ち受ける心配の種は尽きない。
例えば、シーズンは日本の144試合よりも多い162試合であり、最長23連戦というタフなスケジュール。東西で3時間の時差と広い北米大陸の気候の違い、堅いマウンドと滑るボールに適応する必要がある。
それでも、大谷がメジャーの球団にとって、多くの選択肢を与える存在になることは可能だ。
アメリカンリーグは指名打者制(DH制)があり、登板間隔を空けて休養を与えたい場合、相手が右投手とのマッチアップの場合など、選手起用の幅を広げるオプションになれる。また、ナショナルリーグでは投手が打席に入るから、相手にとって、大谷は厄介な存在になるし、代打という起用法も出てくるだろう。
現に、大谷には、いいお手本になる投手がいる。サンフランシスコ・ジャイアンツのバムガーナーだ。現役投手最多となる通算13本塁打を放ち、シルバースラッガー賞も2度獲得している。
その彼が今季、DH制のあるインターリーグのアスレチックス戦に「9番投手」で出場。マウンドでは6回1/3を投げて7安打4失点で9勝目を上げ、打席では2塁打を放って勝利に貢献。メジャーでは40年ぶりの「リアル二刀流」を実現させている。