空気が乾燥する冬場は、ドライアイや疲れ目にもなりやすい。外出用のバッグに目薬を常備して、ひと冬使い続ける人もいるのではないだろうか。
「そんな使い方をすると結膜炎になる危険があります」と指摘するのは、彩の国東大宮メディカルセンターの眼科医・平松類さんだ。
「目薬には必ず使用期限が記載されていますが、それは“開封しなかった場合”です。目薬に入っている防腐剤は、長期保存できるほど効力はありません。1か月経つと雑菌が増殖してきます。よく、『まつげに触れるとボトル内に菌が入る』といいますが、触れなくても空気中の雑菌が入り込んでいます。万が一、まつげや目の粘膜に触れたのなら、1か月といわず、なるべく早く交換すべきです。口をつけて飲んだペットボトルの水を、ひと月後も飲んでいるのと同じことなんです」
冷蔵庫で保存すると、常温保存よりはマシだが、菌が繁殖しているのは変わらない。やはりなるべく早めに使い切ったほうがいい。
最近はコンタクトレンズの保存ケースに関するトラブルも増加しているという。
「レンズの手入れをしっかりしていても、ケースが雑菌まみれの人が多い。とくにソフトレンズは、洗浄液と保存液が一体になっているため洗浄力が低く、菌が繁殖しやすいんです。ケースは毎日しっかり水で洗って乾燥させてください」
それでも完全に雑菌がいなくなるわけではない。
「アカントアメーバという微生物が傷ついた角膜に入り込んで角膜潰瘍になり、手術で黒目を削ったり、視力が低下したりして、コンタクトレンズを入れられなくなった患者さんもいます。ケースも保存液も1か月で取り換えてください」(平松さん)
使い始めたら、その日をマジックで書いておき、たとえまだ使えたとしても、決して「もったいない」とはいわずに期限を守ることが重要だ。「節約ファースト」で病院に駆け込むハメにならないよう、ご用心くださいませ。
※女性セブン2016年12月15日号